
Updated:2024.07.19
場所に縛られない多様な働き方を求めて WeWork を利用。ソニー銀行が進めるABWの現在地点
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なぜABWを志向し、WeWork を活用することになったのか
20数社を視察して検討。曲折の末にABWを試験導入
WeWork のようなABWを実現できる場所がもたらす効果
WeWork で働くことで生まれるメリット
金融業は、業務の特性上、高度なセキュリティー対応が求められる印象が強く、ABW※とは縁遠いようにも思えます。しかし、日本を代表するネット銀行の1つであるソニー銀行株式会社では今、新しい働き方やワークプレイスの在り方の模索が始まっています。その取り組みの1つが、 WeWork の利用です。同行は金融業界のワークプレイスの未来をどのように見据えているのでしょうか。ABWの高度化をリードする人事総務部 総務課長の小山綾子氏と、同部シニアマネージャーの田村明氏にお聞きしました。
※Activity Based Working:業務内容に合わせた時間や場所に縛られない柔軟な働き方
■ 課題
- 大型プロジェクトで一気にミーティングスペースの需要が増加
- ABWの試験的導入を模索するも、銀行業で本当に実現可能なのか不明
■ WeWork を選んだ理由
- WeWork が本店と同じビル内にあり、しかもフレキシブルかつ迅速なスペース確保が可能だった
- WeWork にはABWの理想の姿があり、自社展開の参考とするのに最適だった
なぜABWを志向し、WeWork を活用することになったのか
ソニー銀行株式会社は、日比谷パークフロント(東京・千代田区)の3フロアに本店を構える他、都内に相談窓口とバックアップサイトを持っていました。これを、コロナ禍を受けたBCP(事業継続計画)の観点、またABWも視野に入れた経営効率化の観点から、再構築することになりました。
具体的には、都内にあった相談窓口とバックアップサイトを整理統合した上で、日比谷パークフロントの本店を3フロアから2フロアに減床。その一方、新たに200人規模の拠点を新宿に構え、開業以来1拠点だった本店機能を2カ所に持たせる体制とし、BCPを高度化しました。
また、同じタイミングを捉え、同じ日比谷パークフロント内にある WeWork の利用を検討しました。人事総務部総務課長の小山氏は、こう振り返ります。
ソニー銀行株式会社 人事総務部 総務課長 小山綾子氏
「進行中の大型プロジェクトで一気にミーティングスペースの需要が増し、自社内のスペースだけでは賄いきれなくなりました。そこで、同じビルにある WeWork 専用スペースを利用することを経営に提案しました。きっかけは緊急対応的な理由ですが、同時にコスト削減など、経営の効率化にも資するABWの足がかりになると考えました」
こうしたいきさつがあり、経営の理解を得ながら2023年12月に、WeWork 日比谷パークフロントの利用開始に至りました。現在は定員8席の専用スペースを2部屋利用しています。
20数社を視察して検討。曲折の末にABWを試験導入
ただ、銀行という業務の特性上、ABWがなじむのかは未知数でした。そこで検討に当たり、先行して取り組む企業やシェアオフィスへの周到なリサーチを行ったといいます。
「ABWを検討するために、先進的な20数カ所の事例を視察させていただきました。実際にワークプレイスを見せてもらうだけでなく、ABWのメリットやデメリットなどに関するヒアリングの場も設けていただき、『ソニー銀行に必要なABWとはどのようなものか』について、解像度を高めていきました」(小山氏)
ただ、こうしたリサーチを経てもなお、ABWがソニー銀行にマッチするのか、明確には見極められなかったといいます。そこで、トップマネジメントへの報告を行いながら、ABWを試験的に導入していくことになりました。
実はABWの検討は、日比谷パークフロントに本店を移した2017年当初からあったと人事総務部のシニアマネージャー田村氏は説明します。ただ、この時は「移転にコストがかかるので今は避けたい」という経営の判断があり、一度は導入を諦めた経緯があります。
ソニー銀行株式会社 人事総務部 シニアマネージャー 田村明氏
田村氏は、前職時代に得た体験から、ABWの必要性を感じるに至ったと明かします。10数年前、スペインのある証券会社を訪れた際、そこで見たオフィスのしつらいに大きな衝撃を受けたといいます。広々とした空間に大きなデスクが置いてあり、そこにいくつものモニターが並んでいる。その居心地のよい空間とその高級感に、働く場所としての新しい可能性を感じました。 WeWorkではその時のイメージに近い印象を受けたと振り返ります。
いったんは時期を見極めることになったABWへの取り組みですが、その後、周囲の環境に急速な変化が訪れ、現在のような段階的な導入に至りました。どのような変化があったのでしょうか。
小山氏は、まず2022年1月の電子帳簿保存法の改正を挙げます。これによって帳票類の電子化が一気に進んだこと、またコロナ対策としてリモート会議ツールが広く普及したこと。そして業務や人数は限定的ながら、ソニー銀行でも在宅勤務が認められたことなど、柔軟な働き方につながるここ数年の変化が、ABWに対する機運を高めたといいます。
WeWork のようなABWを実現できる場所がもたらす効果
ただ、小山氏も田村氏も、WeWork を含めたABWを、単なるイメージ先行の「働きやすい素敵なオフィス」と捉えているわけではありません。「ABWといっても定義はさまざまですが、私たちは、あくまで経費の固定化・コスト削減が前提」(小山氏)と、費用対効果に着目しています。
これまで人事総務部として、オフィススペースの効率化を目指し、決まった面積にいかに多くの人員を詰め込むかを考えてきました。しかし、そういったオフィススペースの評価の仕方には限界を感じていたことを明かします。
人口減、そしてさまざまなテクノロジーの進化で利便性が高まっている今、「限られたスペースに社員を労働集約的に詰め込む」ことを考える必要はなく、むしろ「一定数の精鋭がパフォーマンスを最大化できる」空間を、少々の投資を伴っても用意することが、企業の成長につながるのではないか──。オフィスの費用対効果の評価軸が変わろうとしていることを、小山氏の発言から感じます。
同時に、在宅勤務を含めたワークスタイルの多様化も加わって、全社員がオフィスに集まるタイミングは従来より少なくなり、「オフィス内のレイアウトの自由度」は高まっています。こうして、スペースなど物理的な面でも、ABWに踏み出す好機が訪れているといえます。
「現・代表取締役社長の南からも『今後しっかりと各部署からの声を聞いて、本当にソニー銀行にABWのアプローチがマッチするのかを見定めてほしい』という言葉もあり、 WeWork の利用の他に、新宿の拠点でも個人情報を扱わない一般エリアでABWを試験的に導入し、フィードバックを集めている最中です。社員の反応にはポジティブな声もありますが、『どうしてここだけこんなに費用をかけてカッコよくしているのか』といった意見もあります」(小山氏)
厳しい意見に対して田村氏は、「想定内」としてこう語ります。「『なぜあそこだけ』という意見は、同様の環境を望む声でもあります。こう判断するのには理由があります。かつてヒアリングした多くのABW導入企業で『最初はフリーアドレスやABWにネガティブで、従来の固定席で業務を続ける選択をした部署も、最終的にはABW導入に至った』という声を何度も聞いていたからです」
確かにこれまでの考え方からすれば、ミッションクリティカルな銀行業において、自由度の高いABWの適用は、ハードルが高い部署もあるかもしれません。しかし、そうした業務においても、書類の保管やセキュリティー技術の進化などによってABWが成立する可能性があります。
実際、すでに情報セキュリティを管理しているシステム管理部からは、ABWの一端であるWeWork の専用スペース利用について肯定的な反応が得られており、また業務の種類によって系統が分かれているネットワークについても、いわゆるコーポレート機能や企画・営業関連部署はABWに対応できるという意見が出ているといいます。今はまだABW化が難しい個人情報を扱う部署を除いては、条件がそろいつつあるようです。
「今後行うべきは、現在の働き方の詳細な調査だと考えています。私たち総務は、社内でもおそらく最も多くの社員とコミュニケーションを取っている部署でしょう。普段からおおよその働き方は認識できているつもりですが、どれくらい在宅ワークが進んでいるのか、どういったタイミングで出社しているのか、どのぐらいの頻度で会議室を使っているのかなどの実態調査から、当行にとってベストなABWを見極めていきたいと考えています」(小山氏)
WeWork 日比谷パークフロントにて
WeWork で働くことで生まれるメリット
ABW高度化の一環として WeWork を活用するソニー銀行ですが、実際に WeWork で執務することが、社員にどのような影響を与えているのでしょうか。小山氏は「今、当行では、オフィス勤務以外の働き方は、在宅ワークしか認められていません。しかも在宅ワークが可能な条件も限定的です。しかし、商社や製造業など他業種を見れば、カフェでパソコンを開いて仕事をしている人もいます。少し極端な例ですが、球場で野球観戦をしながら仕事をしている人もいるという話も聞いたこともあります。ABWが場所に縛られない働き方を目指すものだとするなら、現在のところ在宅しかリモートワークが認められていない当行は、まだABWの初期段階といえるでしょう」と分析します。
その上で、WeWork の利用で社内の機運も高まるのでは、との期待を持っているといいます。WeWork は、単にオフィス以外のワークスペースの1つではなく、その中にプライバシーを保ち集中できる空間もあれば、カフェのようなゆったりくつろいで仕事ができる空間もあります。一方で、交流や新しいアイデアの創発を促すブレストに適したエリアもあり、多様なワークスタイルを受け止める機能が1つの空間にあるからです。
田村氏も、その日の業務やテンションに合わせてワークスタイルを選べる WeWork のベネフィットをこう評価します。
「WeWork に用意されている環境は、社員にとって福利厚生の1つにもなっていると感じています。これを見習って当行では、コーヒーベンダーを導入しておいしいコーヒーが飲めるようにしたり、仕事の合間にいつでも好きなお菓子を楽しめるコーナーを用意したりして、より心地よく働ける環境づくりを模索しています」(田村氏)
最後に小山氏は、WeWork 利用を含めたソニー銀行のABW高度化に、別の期待もあることを明かしました。
「今 WeWork も含めたABWの効果として、大きく期待しているのは採用です。以前私たちのオフィスがあったビルは、築45年ほどの古いものでした。働いている私たちには愛着がありましたが、人事担当者としては、採用面の魅力は弱いと見ていたようです。それが日比谷の現在のビルに移ってからは、在職中の社員からも、そして入社志望の学生からも『こんなビルで働けるのか』という声が聞かれました。 WeWork に対する印象も同様です」
ソニー銀行は当初、新規プロジェクト用のスペース確保という差し迫った課題に対処するため、「フレキシブルかつ迅速な導入が可能なABW空間」として WeWork の利用を開始しました。たしかに一般的な賃貸オフィスでは、ABWが可能な環境の整備や退去時の原状回復に時間とコストがかかります。これが WeWork ではほとんど不要なため、大きなメリットがあり、こうした緊急対応や試験導入に適しています。その上、社員満足度向上や採用などの面で、副次的効果も期待できます。
WeWork のさらなる活用も含めたソニー銀行のABW高度化は、企業のこれからのワークプレイスを語る上で、今後も見逃せない事例になりそうです。
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WeWork は、国内7都市約40拠点*を展開し、柔軟性のある多彩なオフィスソリューションを提供しています。コワーキングスペースや支社利用、リモートオフィスとしての利用はもちろん、1名から1,000名規模の専用オフィスもご用意しています。
従業員は、自宅や好きな場所から、WeWorkの共有スペースや専用デスクを活用することで、快適かつセキュリティが保証された環境で仕事ができます。また、企業としてはご入居後もビジネスや出社率といったその時々の状況にあわせて拡張や縮小ができるため、稼働率に見合った最適なオフィス運用が叶います。
・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています
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