Posted:2023.05.31|Updated:2023.08.04

電機メーカー・パイオニアが出島環境を WeWork に求めた理由

コロナ禍以降リモートワークが浸透。エンジニア同士が集まる場の設置が急務に

WeWork とソーシャルインテリアの連携で、より柔軟なカスタマイズが可能に

見据えるのは社内のみならず入居する他企業との積極的な交流

パイオニア株式会社のSaaSビジネスを推進する部門であるCross Technology Centerは今年4月、 WeWork Hareza 池袋に新拠点を構えました。200名超が活動可能なスペースを専用オフィスとして契約しています。パイオニア株式会社常務執行役員CTOでCross Technology Centerセンター長の岩田 和宏氏に入居の狙いと効果を伺いました。

コロナ禍以降リモートワークが浸透。エンジニア同士が集まる場の設置が急務に

——現在 WeWork Hareza池袋で、1フロアの半分を超えるスペース(216席)を、専用オフィスとして利用されています。

われわれのCross Technology Centerは、モノとコトをかけ合わせて解決するSaaSビジネスを強力かつ迅速に推進する専門部隊です。具体的には、DevOpsによる開発・運用効率化、サービス開発・運用の内製化、サービスへのデータ活用強化をミッションとしており、今回 WeWork に設置したオフィスは、サービス開発・プロダクト開発に携わるエンジニアたちの拠点となります。

——Cross Technology Centerに新たな拠点をつくることになったきっかけを教えてください。

センターの設立は2021年8月です。まだコロナの影響が大きい状況で交流も限られる中、駒込(本社)・川越・茗荷谷の3拠点の総勢約350名のうち、私自身、顔と名前が一致するメンバーは100人もいない状況でした。それほど顔を合わせる機会が少なく、そこに危機感を覚えたのが、新しい拠点を探す動機になりました。

——対面で集まれる場がないとエンジニア領域の業務は難しいということでしょうか。

私たちはパイオニアのいわばクリエイティブ部門です。UI/UXを決めるにしても、顔を突き合わせて話し合わないと、よいものは生まれません。既存の3つの拠点を超えて、エンジニアが融合して対面で仕事ができる場所は絶対に必要だとかねてから思っていました。

また別の観点として、センター設立当初からエンジニアを積極的に採用し、この1年半で外部からスペシャリストを40名弱ほど集めました。これからも、優秀なエンジニアに高いパフォーマンスを発揮してもらう場として、魅力のあるオフィスを用意する必要もありました。

——2023年4月1日に入居されましたが、 WeWork のことは知っていましたか。

私はかねてからスタートアップ企業との接点が多く、そうした企業が入居している WeWork を訪ねる機会も何度かありました。また前職では、シンガポールにある WeWork を利用した経験もあり馴染みがありました。

——今回 WeWork を選ばれた理由はありますか。

最初のポイントはコストでした。例えば通常の賃貸オフィスを借りるとなると、内装工事を含めて結構な費用がかかります。今回3拠点に分散していたメンバーが集まる場所を模索するに当たり、「小さく始めたい」という思いがあったため、 WeWork がマッチしました。

さらに WeWork が池袋にあったことも大きな決め手でした。池袋は、駒込(本社)・川越の中間に位置し、駒込からは山手線で、川越からも東武東上線で乗り換えなく来られます。 WeWork かつ池袋ということで、私は WeWork Hareza池袋一択でした。コーポレートからは他の場所も見て検討するようアドバイスがあり模索しましたが、これ以上条件にかなう場所はありませんでした。このサイズのオフィスをこの料金で借りられるところは、少なくとも池袋にはないと思います。

WeWork とソーシャルインテリアの連携で、より柔軟なカスタマイズが可能に

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——入居後は社内外からの来訪者もあったと思います。皆さんの反応は?

入居してから日が浅く、まだ社外の来訪者は少ない状況ですが、社内の反応は非常に高いと感じます。当社のCEOも見に来ましたが、この雰囲気に驚いていました。 WeWork の魅力は、体験するのが一番です。一度この場に身を置いてみれば、素晴らしさはすぐに分かります。

——今回オフィスをかなりカスタマイズされました。どのように希望を形にしていったのでしょうか。

今回は、 WeWork のメンバー企業でもあり、 WeWork 入居企業の専用オフィスの内装カスタマイズを手伝っているソーシャルインテリアさんが、 WeWork と連携して相談に乗ってくれました。 WeWork 標準のインテリアも素晴らしいのですが、エンジニアが集まれる場所、アイデアを形にする場所といった機能を持ったスペースにしたいというわれわれの思いがあり、カスタマイズをお願いしました。

——実際にオフィスを拝見して、各所に工夫が行き届いている印象を受けました。

WeWorkのオフィスプランがベースになっていますが、当社の女性エンジニアもプロジェクトに加わって、わたしたちの希望をお伝えしました。そうした工夫がさまざまなところに見られます。

——メンバーコミュニケーションを促すスペースとして、具体的にどんなこだわりがあるのでしょうか。

入居に当たっては、少人数の検討会をつくって新しいオフィスの要件を定めてイメージを共有していったのですが、Cross Technology Centerを、パイオニアを母体とした社内ITベンチャーのような雰囲気にできたらという思いがありました。具体的には、大きなモニターを設置したセミナールームに設置された人工芝エリア、完全に独立した空間が得られるガラス張りの1on1ブース、移動式のパーテーションにもなる大きなホワイトボード、ホワイトボードを兼ねたテーブル天板のあるミーティングルームなどにそれが表れていると思います。

——特に気に入っているところはどこですか?

CTOの立場で言えば、ミーティングルームが気に入っていますね。エンジニア同士でワークショップを行う際、付せんを壁にペタペタと貼っていきますが、盛り上がってくると徐々に貼る場所がなくなってくる。そんなときに、テーブル天板を立ててホワイトボードを増設すれば、その場の勢いに水を差すことがありません。この仕掛けはメンバーからも評判がよく、当社の要望に合わせて提案してくださったソーシャルインテリアさんに感謝しています。

——コロナ禍でリモートワークが定着し、エンジニアなど一部の職種では、自宅で作業するほうが居心地がよいと考え、オフィス環境に無頓着になりがちです。 WeWork でも、社員にいかに快適にオフィスを使ってもらうか、どうしたら来社の機会を増やしてもらえるかに悩んでいる入居企業もあります。貴社はその点でうまくいっていると感じます。どんなところにポイントがありますか。

メンバー自身が検討チームに参加し、自分たちがどういうオフィスだったら仕事がしやすいかを考え、実現できたことが大きな要因だと思います。おそらく、コロナ禍で分散して働かざるを得なかった間も、本当はこういう場所があればいいのに、という思いがエンジニアの心の中にあったのだと感じます。その思いを、今回フレキシビリティの高い WeWork で具現化できたということだと思います。

見据えるのは社内のみならず入居する他企業との積極的な交流

——入居後に会社として見ている定量的な指標はありますか。

「エンジニアを中心としたメンバーが集まるリアルな場所をつくる」というのが、今回の目的ですので、出社率は気にして見ています。ただ、その数値以上に、プロジェクト単位で集まる機会が生まれたことが大きいと感じます。セミナールームの人工芝に置かれたクッションにもたれてエンジニアが頻繁にミーティングをしている姿を目にすると、こうした場を設けた意義を感じます。

——ミーティングには最適な環境ですね。

入居前は会社のフリースペースを使っていたこともありますが、周りに気を配ってワイワイガヤガヤしにくい印象もありました。でもここなら気兼ねなしに集まり、意見を活発に出しあえる雰囲気があります。

一方で仕事が終われば、 WeWork の共用スペースにあるビールを持ち寄って、メンバーが交流する様子も見られ、WeWork ならではの効果を実感しています。

——他社とのコラボレーション・交流はありますか。

入居前は会社内部のコラボレーションやコミュニケーション活性化を主眼に置いており、外部との交流にまで目が向いていませんでした。ただ、先日WeWorkで開催されたイベントで、他の入居企業に自社の企業紹介をする機会があり、ベンチャー企業の方との接点がありました。具体的に何か案件が立ち上がったわけではありませんが、徐々にそうした効果も生まれてきています。

——今後、WeWorkに期待することはありますか。

集まりやすい場所を求めて WeWork に入居してまだ間もない状況ですが、環境にはかなり満足しています。ただ、今後われわれCross Technology Centerの若手エンジニアたちがさらなるキャリアを積んでいく上で有益な交流を積極的に図っていきたいと考えています。その意味では、 WeWork に入居しているベンチャー企業やスタートアップ企業の方々と接触してその熱量に触れる機会があれば、当社のメンバーの刺激になるのではと考えています。今は専用フロアで活動しているので、他拠点の WeWork を含め、積極的に交流をしていきたいと考えています。

 

* 本記事は2023年5月に実施したインタビューを元に作成しています

 

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