
WeWork には、大企業やスタートアップ、自治体など、多様なメンバーが入居し、大きなコミュニティが形成されています。そして、年間約3,000件開催するイベントやマッチング支援により、入居メンバー同士の出会いやコラボレーションを促進しています。
入居メンバーである株式会社JPX総研(以下、JPX総研)が2025年12月9日に発表した、AI開示情報検索サービス「J-LENS」(β版)は、ベクトル検索技術を活用し、東証上場会社の膨大な開示資料の探索・比較を迅速に行える画期的なサービスです。このサービスの開発は、WeWork の中で WeWork コミュニティチームのサポートにより出会った、同じく入居メンバーであるAIスタートアップのひふみ株式会社(以下、ひふみ)との協業により実現しました。
12月9日、WeWork 赤坂グリーンクロス にて、J-LENSの技術的詳細、活用方法、今後の展開を初公開する発表会を開催し、同発表会のパネルディスカッションにて、JPX総研とひふみが、WeWork でどのように出会い、様々な困難を乗り越え、サービス開発に至ったのか、大企業×スタートアップの協業成功の背景や、WeWork でマッチングやイノベーションが生まれる仕組みについても公開しました。
<イベント概要>
JPX総研 AI開示情報検索サービス J-LENS ベータ版リリース発表会
日時: 2025年12月9日(火)15:00-17:00
会場: WeWork 赤坂グリーンクロス
主催: 株式会社JPX総研、ひふみ株式会社、WeWork Japan
プログラム:
第1部)・ご挨拶 WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷慶太郎
・キーノート 株式会社JPX総研 執行役員 山藤 敦史 氏
・ライブデモンストレーション 株式会社JPX総研 三村 優里香 氏
・エキスパートトーク ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏
第2部)パネルディスカッション
パネルディスカッション①『オープンイノベーションの戦略的取り組み』
パネルディスカッション②『協業の舞台裏と現場のリアル』
WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷慶太郎
まずは、WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷慶太郎 よりご挨拶をさせて頂き、続いて株式会社JPX総研 執行役員 山藤 敦史 氏 よりキーノートを、JPX総研 三村氏より、ライブデモンストレーションとして、実際の検索動作を操作しながら解説頂きました。
株式会社JPX総研 執行役員 山藤 敦史 氏
▪️J-LENSについて
「J-LENS」は、JPX総研が開発した、AIを活用した自然文検索サービスです。従来のキーワード検索では見つけにくかった表記ゆれ、否定形、数値条件、あいまいな表現などにも対応し、東京証券取引所上場会社の膨大な開示情報から必要な情報を迅速かつ的確に探し出すことが可能になります。
J-LENS(β版)の詳細:
AI開示情報検索サービス(J-LENS)(β版)のリリースについて
(引用:日本取引所グループ ホームページ JPXからのお知らせ 2025年12月9日配信)
JPX総研 三村優里香 氏によるライブデモンストレーション
続いて、エキスパートトークとして、J-LENSの高度なAI技術によるチューニングと技術アドバイザリーを行った、ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏 が登壇。「技術だけでなくビジネスドメイン知識をあわせ持つ」という同社の強みや、今回のプロジェクトで注力したポイント、本協業への想いや今後のビジョン、そして WeWork のコミュニティチームについて語りました。
詳細:ひふみ株式会社、JPX総研のAI開示情報検索サービス「J-LENS」(β版)に生成AIによる高度な技術支援を提供 (引用:ひふみ株式会社 プレスリリース 2025年12月10日配信)
ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏
続いて第2部、パネルディスカッションの様子をご紹介します。
パネルディスカッション① 『オープンイノベーションの戦略的取り組み』
登壇者 株式会社JPX総研 執行役員 山藤 敦史 氏
ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏
WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎
モデレーター 株式会社ブランドジャーナリズム 代表取締役CEO 林 亜季 氏
左から、 WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎、ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏、株式会社JPX総研 執行役員 山藤 敦史 氏、株式会社ブランドジャーナリズム 代表取締役CEO 林 亜季 氏(モデレーター)<br />
林(ファシリテーター ):
ではまず、今回のコラボレーションがいかにして生まれたかをおうかがいします。
畠田(ひふみ):
WeWork のコミュニティチームからの誘いで、(WeWork が主催する)働き方改革のイベントに参加したことが始まりました。このイベントでは働き方改革に対するひふみのソリューションを提案するために準備をしていましたが、当日、会場でJPX総研が配布していた「課題一覧」という資料を見て、手持ちの技術ですぐに対応できると判断し、実際の解決策をお見せするデモへと内容を切り替えました。
山藤(JPX総研):
JPX総研は、開示資料など非構造化データからの特定項目の抽出について精度がなかなか出せないことを課題としていました。それに対してひふみさんが、イベント中に適切なデモを行い、その場で解決してくれました。なお、我々は、このイベントでの出会いを偶然と捉えていたのですが、実は戦略的な出会いだったそうです。
熊谷( WeWork ):
これがまさに、偶然を装った必然といいますか、WeWork のコミュニティチームが偶然を必然に変えた嬉しい事例といえます。
林:
なるほど。何やら隠れた努力がありそうですね。また後で詳しく教えてください。では続いて、本事例で生かすことができた3社それぞれの強みを教えてください。
山藤:
JPX総研の強みは、「自分たちで一回やってみよう」という内製の文化があることでしょうか。内製することで、どこまでが自社でできて、どこまでができないかがわかります。
ひふみさんの強みは、AIの技術はもちろんですが、問題に対する理解力、理解の深さがずば抜けていた点です。技術だけを提案する会社には、これまでもたくさん出会ってきましたが、本当の意味でのペインポイントを理解される方はいなかった。
畠田:
ありがとうございます。JPX総研さんの、組織としての柔軟性が素晴らしかったです。
契約書が翌日戻ってくるスピード感に加え、開発においてもアジャイルな組織を作られていたことに驚かされました。その発注者としての「あり方」が、今回のプロジェクトがスムーズに進んだ大きな要因だったと感じています。
そして、WeWork は、コミュニティチームが素晴らしい。何かあればお声がけいただき、気にかけていただいているという安心感があります。
熊谷:
ありがたいお言葉です。当社は「コミュニティは可能性の空間」というビジョン を持っており、また、「メンバーファースト」という言葉をよく使います。WeWork の強みはまさに空間とコミュニティの2本柱です。そこを体感いただいていることが嬉しいです。
林:
なるほど。3社それぞれの強みを活かした結果、このイノベーションが誕生したのですね。さて、今回の取り組みは「爆速イノベーション」 とも言われていますが、日本のトラディショナルな企業であるJPX総研さんとスタートアップ企業であるひふみさんが、どのようにスピード感を持って協業できたか、その要因を伺いたいです。
山藤:
先ほども申しましたが、JPX総研には、0から1を作る内製のカルチャーがあり、これまでのチャレンジをポートフォリオ化してきました。それがあったことが大きな要因だと思います。J-LENSは、構想から着手までは時間がかかりましたが、着手した後は数ヶ月で開発が進みました。
畠田:
爆速の理由は、技術以外の実務的な面も大きいと思います。JPX総研さんとの契約書のラリーですが、通常1週間〜1ヶ月かかるところ、翌日にはドラフトが戻ってくるスピード感でした。
熊谷:
イノベーションの速度は、信頼構築の速度にもよると考えます。協業相手が同じ WeWork のコミュニティ内にいるということで、信頼を構築する際の心理的なハードルが下がったり、歩み寄るきっかけが作りやすかったりするのではないでしょうか。
WeWork という場所で、既存の企業文化から一歩踏み出し変化を加えていき、人や企業と繋がっていく。今後もそのお手伝いをしていきたいと思っています。
畠田:
実は、JPX総研さんは、WeWork KABUTO ONE(茅場町)に、ひふみは WeWork GINZA SIX(銀座)に拠点があり、物理的には距離があります。ですが、WeWork という同じコミュニティに属しているという事実、そしてコミュニティチームによる拠点の垣根を超えた連携といった、共通の基盤があったからこそ、スムーズに議論に入ることができました。信頼のインフラとしての WeWork コミュニティの力に深く感謝しております。
林:
最後に、山藤さんの今後のビジョンを教えてください。
山藤:
やはり、日本経済を躍進させたいという想いがあります。J-LENSはそのユースケースの一つですが、非常に可能性があると思っています。経済を躍進させるための資金の流れを決めるのは、情報の流れであるとも言えます。その情報の流れを円滑にして行くことに今後も貢献していきたいと考えています。
林:
皆様、熱い想いをお聞かせいただきありがとうございました。
パネルディスカッション②『協業の舞台裏と現場のリアル』
登壇者 株式会社JPX総研 斎藤 裕哉 氏
株式会社JPX総研 太子 智貴 氏
ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏
WeWork コミュニティチーム 内山 奈菜
モデレーター 株式会社ブランドジャーナリズム 代表取締役CEO 林 亜季 氏
左から、 WeWork コミュニティチーム 内山 奈菜、ひふみ株式会社 代表取締役 畠田 拓 氏、株式会社JPX総研 太子 智貴氏、株式会社JPX総研 斎藤 裕哉 氏、株式会社ブランドジャーナリズム 代表取締役CEO 林 亜季 氏(モデレーター)
林(モデレーター):
このセッションでは、より現場に近い視点から、協業の舞台裏と技術実装のリアルに迫ります。では、J-LENSのイノベーションのポイントと、 実現できた理由として、現場でのハードシングスをどう乗り越えたかをお話しいただけますか。
太子(JPX総研):
技術的な面でいうと、ひふみさんという外部ベンダーとJPX総研の技術者をどのように連携させるかというハードシングスがありました。しかし、ひふみさんは、我々が使いやすい形で納品してくれました。JPX総研が再チューニングできる、JPX総研の環境に取り込むことを考えた納品だったことに驚きました。
畠田(ひふみ):
まさに、弊社のエンジニアがこだわったのが納品の形でした。それを評価していただけて嬉しいです。
林:
そういったことがあったのですね。WeWork は、両者の間をどのようにサポートされましたか?
内山( WeWork ):
コミュニティの観点では、イベントを開催してマッチングすることはできますが、難しいのはその先に進むことです。常にマッチングした後の協業時(商談、契約、開発、発表等)のイメージを持って、両者のバックグラウンドや人となりを理解した上でサポートを構成しています。
林:
プロデューサーのような立場ですね。具体的にどのようなことをされていますか?
内山:
入居メンバーからのヒアリングを定期的に実施しています。特にJPX総研の担当者さんは熱意があり、毎月のように持っている課題、オープンイノベーションへの想いをヒアリングさせて頂きました。JPX総研さんとひふみさんは拠点が異なりますが、コミュニティチームは日頃から拠点の垣根をこえて入居メンバーの情報の共有を行っているので、JPX総研さんとひふみさんをマッチングさせることは我々にとっては必然でした。どのイベントで2社をお引き合わせするか、現在どのような方がどのような目標を持ってどのような業務をされているかなど、コミュニティチームの中でかなり綿密なすり合わせがありました。
林:
では最後に、AIやコミュニティを活用したこれからのイノベーションの展望をお聞かせください。
斎藤(JPX総研):
AIに限らず色々な業務効率化のツールは実際に触れてみないとわからないことが多いです。その時にコミュニティの中でマッチングができれば、自社にフィットするツールに最短で辿り着けるかもしれません。自分たちに合ったコミュニティを見つけることが、イノベーションを起こすヒントになるかもしれません。
太子:
私はエンジニアなので、生成AIを使うにはスピード感が大切だと考えます。AIエージェントは半年後にどうなっているかわかりません。検証に数ヶ月もかけていられない世界です。 コミュニティを使って、自社にない技術を持っている企業とつながり、スピード感を持って生成AIを使っていくことが大切ではないでしょうか。
畠田:
AIには「センサー」はあっても、人間のような「センス」はありません。専門的な「スキル」は今後AIで代替可能になるため、人間はコミュニティで互いの熱量や感性に触れ、刺激し合うことがより大切になるのではないでしょうか。 何かが生まれる「きっかけ」は人間同士の触れ合いから作り、それをAIが具現化する。この役割分担こそが、イノベーションの鍵になると考えています。
内山:
AIの時代だからこそ、人と人の繋がりが大切など考えます。J-LENSの開発は、AI活用と人と人とのつながりがうまくコラボレーションしたという、象徴のような事例だと思います。WeWork もAIを活用したマッチングをしている一方で、現場のコミュニティチームがしつこいくらいに入居メンバーに声をかけ、ヒアリングや登壇のリクエストをしています。コミュニティチームのスタッフが、入居メンバー企業の一員になったような気持ちで交わすカジュアルな日常の会話から生まれる関係性が、AIの時代には大切になると思っています。
林:
皆様、ありがとうございました。AI時代に人間が一体何を磨くべきかがクリアになった気がします。また、イノベーションにおける場の価値への理解も深まりました。
登壇者の皆様
WeWork Japan は、WeWork コミュニティからJ-LENSのような日本経済を躍進させるイノベーションが誕生したことをとてもうれしく思います。今後も、入居メンバー にとって信頼のインフラであるべく、あらゆる入居メンバーの成長に寄り添ったコミュニティを形成して参ります。





