
WeWork では、モビリティ(交通) / 環境 / スマートシティ / エンタメ&レジャー / ヘルスケア / 自治体 / オープンイノベーションの7つの注目分野ごとにプロジェクトを立ち上げ、コミュニティ形成やイノベーション創出に注力しています。
注目分野の一つ「モビリティ(交通)」において WeWork Japan は、2024年11月に開催した、「モビリティイノベーターピッチ」をはじめ、モビリティ社会に深く関わる企業や団体だけでなく、モビリティ業界との共創やソリューションの提供が可能なイノベーター企業とともに、コミュニティを形成してきました。
9月17日、WeWork 渋谷スクランブルスクエアにて、経済産業省が推進するモビリティDXプラットフォーム と連携し、「WeWork Mobility Project lap 2 ~ テクノロジーで描く交通事故ゼロの未来 ~」を開催しました。「交通事故ゼロ」の未来を目指し、自動運転、ADAS、AIなど、モビリティ分野の先進技術を牽引する企業が集結し、各社の視点から、テクノロジーによって実現される次世代の安全なモビリティ社会について語りました。
<イベント概要>
WeWork Mobility Project lap 2 ~ テクノロジーで描く交通事故ゼロの未来 ~
日時:2025年9月17日(月) 18:30-20:30
場所:WeWork 渋谷スクランブルスクエア
登壇者:
・経済産業省 製造産業局 自動車課 モビリティDX室 染谷 智之 氏
・株式会社T2 事業開発本部 渉外部 部長 川﨑 大佑 氏
・株式会社SUBARU ADAS開発部 担当部長 金井 崇 氏
・株式会社モルフォ 代表取締役社長 平賀 督基 氏
参加人数:43名
▪️経済産業省が推進する「モビリティDXプラットフォーム」とは
経済産業省 製造産業局 自動車課 モビリティDX室 染谷 智之 氏
「2024年10月、経済産業省と国土交通省は、日本のSDV、自動運転等のモビリティサービス、データ利活用領域の競争力強化に向けた取組を推進していくための、様々な企業・人材・情報が集積・交流する新たなコミュニティ、『モビリティDXプラットフォーム』を立ち上げました。
このコミュニティにより、モビリティ分野の多様なプレイヤーが緩やかにつながり、新しいサービスや価値が生まれることを期待しています。なお、これまで研究開発を進めてきた『自動走行』から『モビリティDX』へと焦点を広げた背景には、車のソフトウェア化や自動運転技術の実用化に伴うサービス提供が活発に行われるようになったことがあります。例えば、自動走行が可能になった車内では、スマートフォンを触る時間を増やすのではなく、SDV(ソフトウェア定義車両)によって車両機能のアップデートやエンターテインメントの提供、AIによるドライブプランのレコメンデーションなどが可能となります。これまでの車の価値を大きく変える可能性を秘めているのです。
さらに、自動車産業がハードウェアの性能だけでなく、デジタル技術との融合によって多様な価値を生み出す時代に変化していることは、ユーザーニーズに基づいた車の作り方や、サービス提供のあり方を逆算する必要が出てきます。単純に車の性能に対してだけでなく、市場ごとのニーズに対応したサービス提供や、販売する国ごとのニーズも考慮する必要が出てくるはずです。さらに、自動車産業のサプライチェーンやバリューチェーンが変化し、保険やサブスクリプションといった新しいビジネスモデルも生まれるでしょう。
自動車産業は今後、これまでのOEMを中心とした構造から、多様なプレイヤーとの連携を通じて新たなエコシステムを構築していく必要があると考えます。改めて、モビリティDXプラットフォームの役割は、これまでの自動車産業だけでは解決できない新たな課題に対応するため、多様な視点を持つ新しいプレイヤーとの連携を促進することです。WeWork のように多種多様な企業・団体・人が集まるコミュニティと連携し、情報発信や人材育成、ビジネスマッチングイベントを通じて、業界内の連携を深め、あらゆる方々がモビリティ業界に参入しやすい環境を整えていきたいと考えています」
経済産業省 製造産業局 自動車課 モビリティDX室 染谷 智之 氏
▪️自動運転システムで物流事業の課題解決へ
株式会社T2 事業開発本部渉外部 部長 川﨑 大佑 氏
「 T2は、トラックの自動運転システム開発に加え、自動運転トラックを活用した幹線輸送サービス(物流事業)まで一貫して行っていく予定です。この技術によって、トラックによる交通事故低減とともに、ドライバーの高齢化や人材不足などの物流の2024年問題という社会課題解決に貢献できると考えています。
高速道路のインターチェンジ近くに有人⇔無人の切替拠点を設け、高速道路~切替拠点までの自動運転輸送を実施する自動運転×物流事業のサービスモデル開発を進めています。2025年7月にはレベル2自動運転(有人)トラックで関東~関西間の有償運行を開始しており、2027年10月にはレベル4自動運転(無人)トラックによる物流事業を開始することを目指しています。
また、経済産業省や関係省庁の各種支援を受けながら開発を進めており、カメラやレーダーといった各種センサーを組み合わせて車両を構築しています。なお、自動運転トラックでは、貨物の重量が都度変わるため、積載量の変化に対応した柔軟な車両制御技術の開発を進めているところです。
不動産、物流、通信、車両リースなどの関係企業が株主として参画していただいており、これらの株主企業を中心に、関係省庁も参加する協議会を立ち上げ、自動運転×物流事業の実現に向けた議論を行っています。
実現が見えてきた自動運転トラック技術を活用し、交通事故ゼロや物流の2024年問題の解決に貢献して参ります」
株式会社T2 事業開発本部渉外部 部長 川﨑 大佑 氏
▪️SUBARUの死亡事故ゼロに向けた取り組み
株式会社SUBARU ADAS開発部 担当部長 金井 崇 氏
「SUBARUでは、『2030年死亡交通事故ゼロ』という目標を掲げ、その達成に向けて運転支援システム『アイサイト』をはじめ、車両自体の安全性向上や事故発生時の乗員保護など、多角的な安全策に取り組んでいます。
例えば、同社のADASシステム(Advanced Driver-Assistance Systems / 先進運転支援システム)は、アメリカの死亡交通事故の統計データを分析し、どのような機能があれば事故を防げたかを具体的に検証し、目標性能を設定しています。
そしてアイサイトは、人間の運転プロセスである、認識、判断、操作と同じような動作が可能です。さらに、36年以上にわたるステレオカメラ技術の開発にAI技術を組み合わせ、悪環境下での物体認識や距離推定、道路認識など、より高い認識性能を実現しています。
なお、アイサイトはハードウェアもソフトウェアも自社で開発・設計しています。AIを含めたソフトウェアを動かす半導体(SOC)も内製することで、コストと性能を両立させています。そのため、量販価格帯の車両にも搭載でき、すべてのお客様に安全を届けることができるのです。
SUBARUの自動車は、他社と比較しても低い交通事故発生率を維持しており、着実に目標達成に向けて進捗しています。SUBARUはこれからも、リアルワールドでの性能を重視した開発を続け、死亡事故ゼロを目指します」
株式会社SUBARU ADAS開発部 担当部長 金井 崇 氏
▪️モルフォの画像AI技術と社会実装
株式会社モルフォ 代表取締役社長 平賀 督基 氏
「株式会社モルフォは、『人間の目を拡張し、感動に満ちた世界を実現しよう』をビジョンに、『最先端技術の社会実装』をコンセプトに研究開発に取り組んでいます。
画像処理技術やAI(人工知能)を研究開発し、ソフトウェアとしてスマートフォン、PC、自動車関連企業などに提供しています。これらの技術はスマートフォンの動画手ブレ補正やダイナミックレンジ補正、霧・靄のクリア化などに活用されています。自動車向けには、2022年にデンソーが発表したADAS向け車載カメラユニット『GSP3』に、モルフォが開発した画像認識エンジン(道路標識、先行車両、歩行者の認識など)が搭載され、すでに実用化されています。
昨今、特に自動車・自動運転関連の技術に注目しており、アメリカのコンピュータビジョン分野における世界最大の学会であるCVPRに毎年エンジニアが参加し、最新の技術動向を調査し国内で報告会を開催しています。また、1万3,000本を超える投稿論文の中から有望な技術を選び、実装を進めています。
また、カメラ1台で3D空間を生成できる3DGS技術(3D Gaussian Splatting)という開発中の最新技術があります。この技術はバーチャル空間の高速かつ高精度な生成を可能にし、自動運転のシミュレーション学習に応用できます。また、大規模言語モデル(LLM)とビジュアルデータを組み合わせ、エッジデバイスで車両の走行判断やドライバーサポートを行う研究開発を進めています。さらに、複数のカメラではなく、1つのカメラにAIを搭載し、被写体までの距離をはかるという技術開発も進んでおります。本日デモ機をお持ちしていますので、ぜひお試しください。
我々はこれらの技術を活用し、交通事故ゼロの未来を作っていければと考えております」
株式会社モルフォ 代表取締役社長 平賀 督基 氏
その後、登壇者も交えた交流会を開催。行政機関から大企業、スタートアップと WeWork コミュニティらしい参加者が集い、登壇者に質問を投げかけたり、日本が直面する社会課題や、交通事故ゼロに向けた未来へのヒントなどを語り合いました。
登壇後の登壇者の皆様
WeWork Japan は今後も、モビリティ分野におけるイベントやコミュニティの形成を通じて、新たな協業や共創が生まれるきっかけとなる場を提供し、入居メンバーとともに交通事故ゼロの未来を目指してまいります。






