入居目的は三者三様。何気ないあいさつからビジネスにつながる
WeWork は多種多様な人が集まるコミュニティ
日ごろの交流からビジネスへ進展する
楽しみながらビジネスが拡大。半年で成果につながったガーラ湯沢
WeWork 利用に対する会社の期待
規模や業種などが異なる企業・個人が働くフレキシブルオフィス「 WeWork 」。コミュニティチームによる橋渡しや頻繁に開催されるイベントやセミナーでの交流、ラウンジやパントリーエリアでの出会いなど、メンバー同士はさまざまなきっかけでつながり、コミュニティの仲間として刺激を受けています。WeWorkのコミュニティの力について、業種も利用の目的も異なる3人のメンバーにお話を伺いました。
座談会参加メンバー
・株式会社フジプラス 取締役 事業開発本部長 江藤直軌氏
・株式会社グリーンウォーターズ 執行役員 Sales Director 川合英明氏
・株式会社ガーラ湯沢 営業戦略部企画グループマネージャー 東京営業所 所長 齋藤友里氏
モデレーター:株式会社MGT 田口雅典 (WeWorkメンバー)
■ 座談会でお聞きした WeWork で感じたコミュニティの力
- 多様な入居者との交流:WeWork のコミュニティチームやイベントを通じて知り合った企業との契約につながった。
- 自社ビジネスの成長:従来の営業のアプローチとは異なり、WeWork メンバーを巻き込むスタイルで成果が得られた。
- インスピレーションが得られる環境:新規事業開発にとって欠かせないマインドが身につき、今まで自社内では生まれなかったビジネスモデルの構築につながった。
- 自分らしさを発揮できる環境:WeWork 全体がチームだという感覚でフットワーク軽く動けるため、新たな可能性が広がった。
入居目的は三者三様。何気ないあいさつからビジネスにつながる
モデレーター 田口雅典(以下、田口)本日は、みなさんがどのような目的で WeWork を利用し、どのような成果があったのかについて伺えたらと思います。最初に、それぞれ事業内容から教えていただけますか。
グリーンウォーターズ 川合英明氏(以下、川合):IT人材育成/採用のプラットフォームとして、バーチャルオンラインスクール「GSchool」を運営しています。企業のDX/IT化のお手伝いや、IT人材としてのキャリアチェンジや転就職を目指す人のサポートを行っております。本社は WeWork 麹町にあり、入居時期は2021年2月1日です。現在6名の専用オフィスを利用していますが、私は人脈づくりのため、オールアクセスのアカウントでいろいろな拠点を利用しています。
株式会社グリーンウォーターズ 執行役員 Sales Director 川合 英明氏
フジプラス 江藤直軌氏(以下、江藤):弊社は、大阪に本社を置く印刷会社です。通販やギフト、旅行、メーカーなどのカタログやパンフレットの制作から印刷までを行う創業100年の企業ですが、その中で私は、デジタル印刷の需要拡大に取り組んできました。デジタル印刷は、従来の印刷とは異なる特性を持っています。その特性を生かし、多種多様なニーズに合ったビジネスとプロダクトの開発を行っています。
入居したのは2022年9月1日です。同年10月1日からは事業開発本部を新たに立ち上げて活動しており、 WeWork の活用によってビジネス開発の動きを加速できたらと考えています。私もオールアクセスで各拠点のイベントに参加、またある時は主催するなどの活動を通して、新しいビジネスの可能性を探っています。
株式会社フジプラス 取締役 事業開発本部長 江藤直軌氏
ガーラ湯沢 齋藤友里氏(以下、齋藤)私は、ガーラ湯沢でスノーリゾートの営業販促を担当しています。本社は新潟県湯沢町にありますが、施設の利用者の約8割が首都圏からのお客さまですので、首都圏にも営業拠点が必要になります。以前は神田の賃貸オフィスに東京営業所を構えほぼ私1人で稼働していました。
さらにコロナ禍も重なって、3年間ほど孤独な日々を過ごすことになりました。そんな折に、池袋のメトポリ( WeWork メトロポリタンプラザビル)に、1人用の専用オフィスの空きが出たと知り、見学に行き、具体的に利用を検討しました。入居は2023年10月です。現在は、私が常駐してスキー場の営業販促を行う他、本社からの出張者のベースキャンプとしても活用しています。
株式会社ガーラ湯沢 営業戦略部企画グループマネージャー 東京営業所 所長 齋藤友里氏
WeWork は多種多様な人が集まるコミュニティ
田口:それぞれの目的で WeWork の活用を開始されていますが、使い始めてどのような変化を感じていますか。まずは、かつての東京営業所で孤独を味わっていた齋藤さんが、 WeWork に入居してどのように変わったのかが気になるのですが。
齋藤:以前の1人で働いていた事務所から WeWork に移ってなによりうれしかったことは、いろいろな人とコミュニケーションがとれるということでした。最初は単にあいさつを交わす程度でも、そのうちに自然と顔なじみの人が増えていきました。ただ、私が WeWork に入居したのは、これからスキーシーズンに入る10月で毎日何かと忙しく、イベントに参加できずにいたので、人脈の広がりは限られていました。
そうした様子を見たコミュニティチームがいろいろな人とつないでくれたり、月に1度行われるメトポリ内のランチ会に誘ってくれたりするようになりました。ランチ会は、入居時期も業種も異なる方が集まっていて、ビジネス、プライベートを問わず、気軽にお話ができます。私にとってなくてはならない時間になりました。
川合:私も1人で動いていることが多いので、齋藤さんのエピソードにはとても共感を覚えます。私は、 WeWork を自分も所属する大きな会社のように感じていて、WeWork にいる人たち(メンバーやコミュニティチームなど)は、みんな同じ会社の仲間だと思っています。
私のホーム拠点は WeWork 麹町ですが、今取材を受けているこのWeWork 渋谷スクランブルスクエアも、いつ来てもコミュニティチームが明るく迎えてくれますし、ちょっと根を詰めすぎて疲れた時などには、気分転換の無駄話にもつきあってくれる仲間(メンバー)がいます。それを心強く感じています。
WeWork 渋谷スクランブルスクエアの会議室にて
日ごろの交流からビジネスへ進展する
田口: さまざまなメンバーとの交流の中で印象的なエピソードはありますか。
齋藤:私の他に、もう1枚カードキーを契約していますが、そのカードキーを受け取りに来た日が、金曜日恒例の「BARメトポリ」(BARのようにお酒を飲みながら交流するメトポリ独自の定例イベント)の日でした。その際にデジタルマップの制作・管理ツールの開発を行うジオ・マーク株式会社の方と名刺を交換し、その縁がきっかけでガーラ湯沢スキー場のデジタルマップをつくっていただいています。関係性はいまも続いていて、今後はリフトやレストランの混雑状況がリアルタイムで確認できるようになったら面白いね、などと話しています。あっという間にコラボレーションが実現し、そのスピード感に驚いています。改めて、東京の拠点を WeWork に移してよかったと感じたエピソードです。
田口:川合さんはどうでしょうか。
川合:いろいろありますが、一番最近の例では WeWork 丸の内北口のイベントに参加した際、コミュニティチームがメンバーさんとつないでくれて、その後とんとん拍子で、当社のDX研修を受けていただくことになりました。その企業の本社は福岡にあり、東京事務所を WeWork 丸の内北口に置く企業です。 WeWork メンバーでなければ知り合うこともなかったと思います。本当に感謝しています。
また、この事例を含め、当社が提供する研修が助成金対象となるため、その活用を推奨していくことになり、以前にコミュニティチームから紹介してもらった WeWork Hareza 池袋にいるメンバー企業さんに申請に関わるサポートをお願いすることになりました。さらに、これまでなかなか得られなかった自治体との接点も、仲良くなったメンバーさんのつながりでビジネスに発展し、「IT人材の育成を通して地域創生に貢献したい」という当社の思いの実現につながっています。
田口:WeWork のコミュニティチームを通じて実際のお仕事につながった。まさに WeWork というコミュニティの力を感じますね。江藤さんはいかがですか。
江藤:私自身は、 WeWork のネットワークを使ってビジネス開発をしたいという思いで活動していますが、利用を開始した時点で詳細なプランがあったわけではありませんでした。そのため、いざメンバーになった時、当初いたチームメンバーと2人でどうしたものやらと考えました。最初にやったことは、とにかく WeWork で行われているイベントに参加し続けて多くの人と接触しようということでした。これをひたすら続けました。
その中で学んだのは、「何かを得ようとするのではなく、自分から与えること」の大切さでした。その意識を持つようになると、 WeWork が同様の思いで成り立っているコミュニティだということがよく理解できるようになりました。これまで私は、自分たちのビジネスの枠の中だけで完結していましたが、視線を外に向けてみると、実は多様なつながりで成り立っており、つながりが広がれば広がるほど、これまで実現できないと思っていたことさえ現実味を帯びてくる。これに気づけたことは、大きな収穫でした。
田口:新規事業開発では何か進展がありましたか。
江藤:形になるまで本当に時間を要しているのですが、イラスト制作などを得意とするクリエイターが自身の作品を海外に展開できるプラットフォーム構築を進めています。ただ、これまでに経験のないビジネスモデルですので、法律や税金、著作権や決済など、多くの専門的な観点から実装する必要がありますので、コミュニティを通じて WeWork のメンバー企業に相談させてもらったこともあります。
とはいえまだまだ私たち製造業は自前主義に陥りがちで、自社内の環境だけで新しいことを進めようとしてしまうところがあります。一方で多方面からさまざまな情報に接する WeWork のコミュニティは、新規のビジネス開発には適している環境といえるでしょう。
楽しみながらビジネスが拡大。半年で成果につながったガーラ湯沢
田口:ここまで川合さんと江藤さんに WeWork での活動がどのようにビジネスにリンクしているのかについて教えていただきました。メンバーになって半年ほどの齋藤さんは、何かビジネスにつながるような体験がありますか。
齋藤:実は、賃貸オフィスでは負担に感じていたごみ捨てや郵便物・荷物の受け取りなどを WeWork が代行してくれるため、入居当初は無心で仕事に集中していました。そのため WeWork メンバーになることがビジネス拡大につながるなんて考えもしませんでした。ただ、メンバーのみなさんとお話をしているうちに、私の会社は「遊び」をみなさんに提供する会社であり、多くの人がガーラ湯沢に興味を持ってくれること、そして WeWork にはスキーやスノーボードを楽しむ人が意外とたくさんいるということが分かってきました。
そこでメトポリ5周年のイベントの際に、メンバーさんとのおつきあい程度の気分で、リフト券をビンゴゲームの賞品として協賛しました。そうしたら驚くほどの盛り上がりで、当選者の一人は実際に家族でガーラ湯沢を利用して楽しんでくれました。また、とあるメンバーさんは、新しい企画(商品)の「ナイター2時間貸し切りプラン」のリリースにいち早く気づいてくれて、私に「興味がある」と言ってくれました。ただ、私は「社交辞令で興味があると言ってくれたのでは……」と半信半疑でした。
川合:社交辞令かどうか、真意を直接問うのは気が引けますよね。
齋藤:その通りで、自分で尋ねるのが難しかったので、コミュニティチームを通じて真意を確認してもらったところ、「本当に利用したいと言っていますよ!」と連絡を受けました。そこで詳細を聞いてみると、その方が経営する株式会社ソウルウェアの社員旅行で利用したいというお話でした。その後、「せっかくならメトポリの他のメンバーも巻き込んでしまおう」という流れになり、nicoriwa合同会社さんもスポンサーとして参加いただくことになり、数分で実施が決定しました。それからは毎週金曜日の朝に、みんなでガーラ湯沢に行くプロジェクトの打ち合わせを重ねました。レンタルや参加費、当日の集合時間や交通手段について、みんなでわいわいと「遊ぶ」を真剣に決めていくのは、とても楽しかったです。
そしてついに当日を迎え、いつもメトポリで見かけているみんなにガーラ湯沢で会った時の感動は、図りしれないものがありました。いつもは見られないはじけた表情で好きなだけ滑って、雪遊びして、最後に花火を見て……。夢のような体験でした。
ガーラ湯沢にて行われた WeWork メンバー貸切ナイターでの記念写真
田口:聞いているだけでも、とても楽しそうです。「次回」も予定しているのでしょうか。
齋藤:コミュニティチームがランチ会でイベントの報告会を企画してくださり、「私も行きたかった」という声が出て、すぐに来年(2025年)1月に2回目を行うことが決まりました。それどころか、「夏のガーラ湯沢も楽しみたい」という話まで飛び出していて、本当に驚いています。
田口:サービス提供者とお客さんという関係ではなく、関わる仲間全員が自分ごととして捉え、どうしたら楽しめるかを考える。コミュニティマーケティングとして理想的な構図ですね。
齋藤:私も、営業の仕事という感覚では関わっていません。みなさんの遊びのお手伝いをして自分も楽しむ。そんな意識です。これが「自分らしい働き方」なのかもしれません。
江藤:以前の神田の独りぼっちのオフィスにいたことが信じられない展開ですね。ここまでの経緯をお聞きすると、ある意味で出発点ともなったランチ会の存在は偉大ですね。
齋藤:本当にそう思います。メンバーの中には、仕事に集中したいという方もいます。ただ、ランチ会に参加する方は基本的に交流を求めている人です。社交辞令や腹の探り合いは抜きにして、包み隠すことなく自分の意見を言い合える場だと感じます。だからこそ、ガーラ湯沢の貸し切りイベントも心底楽しめるプロジェクトになったのだと思います。
WeWork 利用に対する会社の期待
川合:齋藤さんの当初の狙いは、より仕事に集中できる空間の獲得とのことですが、会社からの期待は何かあったのですか。
齋藤:最初は、以前よりいいワークスペースの確保が唯一の目的でしたので、 WeWork 入居に際して、会社から具体的な成果を求められたわけではありません。だからこそ、こんな成果につながるなんて想像すらしていませんでした。さまざまな局面で動いてくださったコミュニティチームには本当に感謝しています。
田口:齋藤さんは、いきなり会社の期待値以上の成果を残したということですね。今後はどんな期待を持っていますか。
齋藤:少し観点は異なりますが、採用に対する期待を持っています。以前の東京営業所では採用はなかなか考えにくい状況でしたが、 WeWork のような空間であれば、感度の高い若い方が働いてみたいと感じるのでは、と思っています。
江藤:私は個人的に希望して WeWork の活用を始めましたが、WeWork で体感したコミュニティやコラボレーションの在り方を生かして、さらに新しいビジネスの糸口がつかめないかと考えています。 WeWork のつながりではありませんが、先日キャラクター絵本を扱う出版社とオリジナル絵本がつくれるプラットフォーマー、そして弊社と3社で協業して、購入者自身がパーソナライズできる絵本サービスをリリースしました。こうしたビジネスモデルは、これまでの弊社と既存顧客との関係では生まれなかったのではないかと考えています。これは WeWork で見られる、より緩やかで広がりのある異業種コミュニティをベースにしたつながりに通じるところがあり、 WeWork で意識変革できたことが実現の一因ではと、自分なりに分析しています。
川合:私が感じる WeWork の価値は、先ほども少し述べたように、 WeWork 全体が自分の所属する会社でありチームだという感覚を持てることです。そうすることでホーム、アウェイの区別なく、どの拠点でも気持ちよく活動でき、つながりも広がっていく印象を持てます。イベントなどでよく見かけるメンバーさんにどこかの拠点で会うと思わずうれしくなりますし、どこの拠点に行っても同じ温かさがある。そう思えることで自分のフットワークが軽くなり、期待以上のパフォーマンスにつながっていく。そんな感覚を大切にしています。
田口:これからも、WeWork のコミュニティをつうじて、新たな展開やご自身の変化がありそうですね。本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。