更新日:2026.06.10

AI社会実装を加速する共創エコシステム「AI Foundation Community」の全貌を初公開 コミュニティを起点に、AIの可能性を拡張する

2026年4月23日、WeWork Japanは、「AI Foundation Community (AIFC)」の始動を発表するキックオフイベントを開催しました。AIFCは、WeWork の持つ企業コミュニティと、ソフトバンクのAIスタートアップ向けの支援プログラム「AI Foundation for Startups(AIFS)」を掛け合わせた、新たな共創エコシステムで、スタートアップのAIモデル開発から商用化・事業拡大までをサポートする取り組みです。イベントでは、AIスタートアップ、大企業、自治体、投資家など多様なプレイヤーが参加し、AIの社会実装を加速するための新たな取り組みについて議論を交わしました。 

<イベント概要>

日時:2026年4年23日 (木) 13:30 〜15:30

会場:WeWork アイスバーグ

プログラム:

 ・WeWork Japan 挨拶

    WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎 

 ・AI Foundation Community について

    WeWork Japan Head of Community 遊上 和義 

 ・AI Foundation for Startups について

    ソフトバンク株式会社 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏

 ・ライトニングトーク「大企業の課題と AI スタートアップへの期待」

    ジェイアール東海情報システム株式会社 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏 

 ・AIスタートアップピッチ「株式会社neoAI」

    株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏 

 ・パネルセッション「大企業 × AI スタートアップ 協業の重要性    日本発のAI共創エコシステムが創る未来」

 ・ネットワーキング

WeWork Japan 挨拶

イベントはWeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎による挨拶からスタート。

WeWork は単なるオフィスではなく、約3,000社が集うコミュニティに価値があると説明。そのネットワークをAI領域に拡張させ、WeWorkのコミュニティと、ソフトバンクのAIFSが連携することで、グループシナジーを発揮し、共創を加速させていくと力を込めました。

共創エコシステムの全体像 「 AI Foundation Community 」 とは

次に、 WeWork Japan Head of Community 遊上 和義 が、AIFCの構想について説明しました。

1. AIスタートアップが直面する壁

優れた人材や技術を持つAIスタートアップであっても、商用化やスケールの過程で、計算基盤の不足(開発に必要な高性能GPU環境の確保が困難)、実証実験の場の不足( 技術を試すリアルな課題や、導入先の企業・自治体との接点がない)、資金の不足( 継続的な開発と事業拡大を支える資本との繋がりが薄い)といった課題に直面し、成長が停滞してしまうケースが少なくないといいます。

2. 「インフラ」×「コミュニティ」による一気通貫の支援

このような課題を解決する共創エコシステムとして機能するのがAIFCです。WeWork のコミュニティの中で、大企業や地方自治体とのマッチングから、バックアップ、そしてソフトバンクの持つAI計算基盤の利用まで一気通貫の支援を受けることでビジネスを加速させることができます。

3. 社会実装のスピードを左右する「出会い」の価値

なお、環境があるだけではビジネスは生まれません。技術を必要としている「リアルな課題」に出会うことが不可欠といいます。単なるネットワーキングにとどまらない、AIFCの最大の特徴となる提供価値を説明しました。

①イノベーションコミュニティへの参加

通常の商流では接点が持ちにくい、大企業や自治体のキーマン、新規事業の意思決定者と直接つながるクローズドな場の提供。

②PR・露出機会の提供

ピッチコンペティションやイベントを通じ、大企業との共創に向けた発信機会の提供。

③ビジネスマッチングサポート

WeWork のコミュニティチームがハブとなり、スタートアップの技術と企業の課題を深く理解した上で、多様な入居企業の中から「最適なパートナー」のマッチングを日常的に実施。

まとめに「素晴らしいAI技術があっても、最終的には『誰と出会い、誰と組むか』で実装のスピードが決まります。AIFCは、多様な企業・人材が交差する WeWork ならではのエコシステムを基盤に、AIスタートアップが最短距離で社会実装を成し遂げるためのハブとなることを目指します」と語りました。

WeWork Japan Head of Community 遊上 和義

3分でわかる WeWork

3分でわかる WeWork

WeWork を知らない人はまずこちらを

AI社会を支えるインフラの重要性とAI Foundation for Startups

続いて、ソフトバンク 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏が、AIの社会実装におけるインフラの重要性について言及。「AIが社会に広がると、膨大なデータ処理が必要となり、それを支える計算基盤が不可欠となる。今後、AIに必要な計算能力は大幅に増加すると見込まれており、ソフトバンクはそれに対応するため、データセンターやAI計算基盤の整備を進めている」と話しました。

そして、ソフトバンクのAIスタートアップ向けの支援プログラムであるAIFSは、昨年度のスタート以来、50社以上のスタートアップに対してAI計算基盤の無償トライアルや開発・検証支援などを提供しており、「日本のAIスタートアップの皆さんと共にAIの社会実証を実現していきたい」とAIFCへの期待を述べました。

ソフトバンク株式会社 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏

ライトニングトーク「大企業の課題と AI スタートアップへの期待」

ライトニングトークでは、ジェイアール東海情報システム株式会社 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏が、大企業視点から見たAI導入のリアルと課題について語りました。

社会インフラを担う企業にとって、AI導入において重要となるのは「安全性」「安定性」「説明責任」であり、単なる技術導入にとどまらず、データの取り扱いやガバナンスの確立が不可欠である点が強調されました。

また、AIの活用にあたっては、自社でコントロールすべき領域と、外部パートナーと共創すべき領域を見極めることが重要であり、そのパートナーとしてAIスタートアップへの期待が高まっていることが示されました。

特に、「PoCで終わらせず、事業化・安定運用まで伴走できる関係性」が、今後の協業において鍵となると話しました。

ジェイアール東海情報システム株式会社 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏

AIスタートアップによる実践事例と可能性

AIスタートアップピッチでは、株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏が登壇。金融機関や航空業界など、高いセキュリティ要件が求められる領域におけるAIエージェント活用事例を紹介し、セキュリティと実用性を両立したAI導入が実際に大企業で進んでいる現状を語りました。

また千葉氏は、AI技術の進化によって業務効率化やコスト削減への期待が高まる一方で、人間の価値観や組織変革のスピードとのギャップが、社会実装における課題になっていると指摘。同社として、そのギャップを滑らかに埋めながら、AIの実装を推進していきたいとの考えを示しました。

株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏

パネルセッション 
大企業 × AI スタートアップ協業の重要性 日本発のAI共創エコシステムが創る未来

<トークダイジェスト>

パネルセッションでは、「大企業とAIスタートアップの協業」をテーマに共創の重要性について議論が展開されました。

登壇者:

 ・ジェイアール東海情報システム株式会社(JTIS) 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏 

 ・株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏 

 ・ソフトバンク株式会社 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏

 ・WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎 (モデレーター)

トークテーマ1:大企業とAIスタートアップの協業は、なぜ必要か

左から、WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎、ジェイアール東海情報システム株式会社 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏、株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏 、ソフトバンク株式会社 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏

熊谷(モデレーター):まず石川さん、大企業の立場から、なぜ今AIスタートアップとの協業が必要なのかお聞かせください。

石川(JTIS):私たちが手がけるシステムは、業務への深い精通と、厳密なロジックが求められる極めて重要な領域です。しかし、現代は変化が激しく、多様なケースに迅速に対応しなければなりません。そこでAIへの期待が非常に高まっています。

AIは単なるプログラムの延長ではなく、高度なモデル開発技術を要する領域です。これを自社だけで完結させるのはハードルが高い。だからこそ、専門性を持つスタートアップとの協業が不可欠です。

また、自社の文化だけでは難しい「アジリティ」や「仮説検証型でサイクルを回すマインドセット」を取り入れ、組織をアップデートしていくという意味でも、スタートアップの皆さんの力が必要です。

熊谷:続いて千葉さんに伺います。金融機関や伝統的な大企業を相手にされる中で、ウィンウィンの関係を築く難しさや戦略をどうお考えですか。

千葉(neoAI ):例えば金融機関様の場合、セキュリティが最優先です。クラウドを使わず、専用サーバーを持ち込んで「目の前で動かす」という対応が必要なこともあります。一方で、個人情報の扱いに慎重すぎるあまり、プロジェクトが遅延し、スケールが難しくなるという課題もあります。

私たちが大切にしているのは、単に「アイデアを持ち込む」ことではありません。「一緒にプロダクトを作り上げる」という伴走の姿勢こそが、難しい環境下でプロジェクトを成功させる鍵だと考えています。

熊谷:ソフトバンクとしては、協業を成功させるポイントはどんなことだとお考えですか。

淺沼(ソフトバンク):スタートアップと大企業がカチッと噛み合うポイントは、最初から見つかるわけではありません。そこで重要なのがコミュニケーションです。

単なる外注関係ではなく、一緒に走りながら実装ポイントを探っていく。この「伴走」のプロセスがあるからこそ、一気にスケールする瞬間が生まれるのだと感じています。

トークテーマ2:AI Foundation Communityがもたらす未来と価値

左から、WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎、ジェイアール東海情報システム株式会社 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏、株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏 、ソフトバンク株式会社 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏

熊谷:ここからはAIFCが創出する価値について深掘りします。石川さん、インフラやコミュニティへの期待を教えてください。

石川:新しい課題というのは、実際にやってみないと見えない部分が多いものです。自社内だけで考えてもブレイクスルーは難しい。しかし、このコミュニティでスタートアップの方々と「建設的で熱いディスカッション」を交わすことで、新たな道が開けると確信しています。

また、データの機密性を担保する「ソブリンクラウド(主権クラウド)」「ソブリンAI」という強固な基盤の上で、スタートアップのアジリティを活かした仮説検証を回せる。この組み合わせこそが、私たちの従来のスタイルを突破する大きな期待値です。

熊谷:千葉さん、コミュニティに期待することは何でしょうか。

千葉:よくあるのが「協業のプレスリリースを出して満足し、その後何も起きない」というケースです。これを防がなければなりません。大企業側は「ちゃんと発注する」、スタートアップ側は「期待に応えて完遂する」。当たり前ですがこの重要なインセンティブ構造を、コミュニティを通じて健全に機能させていきたいですね。

熊谷:最後に淺沼さん、この取り組みへの期待をお願いします。

淺沼:これまで多くのイベントに出展し、個々のAIスタートアップと繋がってきましたが、このコミュニティによって「定常的なタッチポイント」が生まれることに大きな魅力を感じています。

大企業、自治体、スタートアップという異なるプレーヤーが日常的に交流することで、一社では生まれないアイデアが生まれます。また、技術力のあるスタートアップはスケールのための論理を、大企業側はAIへの理解を深めることができるのではないでしょうか。

加えて、地方創生などの課題に真剣に取り組む熱量の共有も重要です。このコミュニティが、単なるビジネスマッチングを超えて、社会実装に向けた「情熱の集積地」になることを期待しています。

熊谷:全産業が集うコミュニティの中で、社会実装のフェーズへ進めることが重要だという共通認識が得られました。本日はありがとうございました。

イベント後半のネットワーキングでは、登壇内容を踏まえた活発な交流が行われ、参加者同士が具体的な協業やビジネス機会について意見を交わす様子が見られました。

単なる情報提供にとどまらず、その場で次のアクションにつながる出会いが生まれる点は、本コミュニティの大きな価値の一つといえます。

本イベントは、スタートアップ・大企業・インフラ企業の連携による新たな可能性を示し、日本におけるAI共創エコシステムの本格始動を象徴する機会となりました。

左から、WeWork Japan 代表取締役社長 兼 CEO 熊谷 慶太郎、ジェイアール東海情報システム株式会社 取締役 デジタル戦略部長 石川 勝隆 氏、株式会社neoAI 代表取締役 CEO & Founder 千葉 駿介 氏 、ソフトバンク株式会社 次世代事業開発本部 本部長 淺沼 邦光 氏

カテゴリーから探す

イベントレポート

一覧を見る ➝