JPX総研 フロンティア戦略部課長の斎藤裕哉氏と三村優里香氏

更新日:2025.06.09

JPX総研、スタートアップとの協業でビジネス課題解決を加速。 WeWork がつないだ理想のパートナー

データと技術の力で市場の未来を切り拓くJPX総研が WeWork に入居した理由

居住者の課題や要望を事前にヒアリング。拠点を超えた協業・共創を促進するWeWork コミュニティチーム

証券市場に詳しいAIスタートアップ企業と運命的な出会い

株式会社JPX総研は、グループの東京拠点再編の流れの中で、グループ各社との交流のしやすさ(立地面)や WeWork ならではの魅力的なサービスと整備されたファシリティ、また社内外との積極的な人材交流が期待できることから、2023年に WeWork KABUTO ONEへのオフィス移転を決断しました。 WeWork は、柔軟な契約、利便性の高い立地、生産性を高めるワークプレイスを提供することで、従来のオフィスの概念を超え、多様な働き方を支える「フレキシブルオフィス」です。しかし、 WeWork が提供する価値はそれだけではありません。入居企業同士をつなぎ、新たな協業やビジネス創出を促進する「コミュニティチーム」の存在が、多くの入居企業のビジネスをサポートしてきました。今回ご紹介するJPX総研は、 WeWork のコミュニティチームを通し、自社の課題に応えるスタートアップ企業と出会い、ビジネス創出を加速させています。

■課題
・新しい領域の事業や社内のDXにチャレンジするミッションを抱えており、従来の枠組みにとらわれずに新たな企業文化や働き方の醸成が必要だった
・東京証券取引所など、グループの別法人のオフィスは部署ごとのオフィスレイアウトが主流で、他部署間の積極的な交流が生じにくい面があった
・社内外で新しい付加価値を生み出すため、生成AIなどの最新技術に関する知見やソリューションを持つ企業との連携を模索していた

■WeWork 入居後に生まれた効果
・異なる業種や規模の企業が集まる WeWork 主催のイベントを活用することで、新たな企業との接点ができた
・従来の固定席配置からフリーアドレスに移行すること、共有エリアを活用することで、部署間の垣根が低くなり、社員同士のコミュニケーションが活性化した
・コミュニティチームのヒアリングを通じて、生成AIを活用したソリューションを持つスタートアップ企業「ひふみ株式会社」と出会い、ビジネス創出が加速した

データと技術の力で市場の未来を切り拓くJPX総研が WeWork に入居した理由

東京証券取引所や大阪取引所、東京商品取引所などを運営する株式会社日本取引所グループ(以下、JPX)の株式会社JPX総研は、2021年12月に設立された会社です。同社は、これまで東京証券取引所や大阪取引所にあったデータ・デジタルに関わる業務やリソースを集約し、JPXが発表するTOPIX(東証株価指数)をはじめとした各種指数、株価、企業の業績情報などのマーケットデータの発信、グループ内外の企業に対してシステム関連サービスの提供を行っています。創業当初、オフィスは東京証券取引所と同じ建物内にありましたが、2023年4月、同じ日本橋兜町にある WeWork  KABUTO ONEにオフィスを移転することになりました。

なぜ WeWork を利用することになったのでしょうか。JPX総研 フロンティア戦略部課長の斎藤裕哉氏は経緯をこう説明します。

「検討に当たっては、グループの管理部門が立地や設備の充実、物件の新しさ、コストなど、総合的に判断して決定しました。そうした物理的要件の一方で、当社はこれから新しい領域の事業にもチャレンジしていくミッションを背負っています。多種多様な規模や業界の事業者と接点が得られる WeWork のような場所にオフィスを構え、働く環境も一新したいというグループの意気込みが強かったと思います」(斎藤氏)

JPX総研 フロンティア戦略部課長の斎藤裕哉氏

JPX総研 フロンティア戦略部課長の斎藤裕哉氏

その上で、 WeWork を利用するのであれば、JPXグループのオフィスに近く日本の金融の中心地・日本橋兜町にある WeWork KABUTO ONEが最適との結論に至ったそうです。同じフロンティア戦略部の三村優里香氏は、 WeWork を利用することで感じた変化についてこう語ります。

「JPXグループのオフィスは、フロアが分かれており、複数の部門が集まるようなカフェスペースも限定的です。こうした背景から、業務上の関わりの無い別フロアの部署とオフィス内での偶発的なコミュニケーションが生じにくい環境でした。WeWorkでは広いラウンジがあり、ラウンジの各所で部署をまたいだコミュニケーションが発生しています。他部署のメンバーと話す機会が確実に増えました。」(三村氏)

また、同社ではワンフロアの専有スペース内にもラウンジがあり、そこでは四半期に1度ほどの頻度で「ExchangeCafe」と名付けられたグループ内でのナレッジ共有を目的としたイベントを実施していると明かします。例えば生成AIをテーマに定め、部門間でユースケースやナレッジを共有するなど、インタラクティブにコミュニケーションを交わす機会としているそうです。そのような取り組みは前例がなかったことから、 WeWork という「場が持つ雰囲気」の影響は大きいと三村氏は感じています。また、各部署でも自然と歓送迎会や忘年会などをラウンジで開催するようになり、交流の場としての存在感が増している実感もあるようです。

JPX総研フロンティア戦略部の三村優里香氏
3分でわかる WeWork

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居住者の課題や要望を事前にヒアリング。拠点を超えた協業・共創を促進するWeWork コミュニティチーム

さまざまな業界や強みを持つ企業が WeWork という同じ場に集まったとしても、それだけで協業やイノベーションが自然に始まるわけではありません。そこで機能するのがコミュニティチームです。同チームは、入居企業に対して入居の目的や要望、課題をヒアリングし、その解決を支援しています。

コミュニティチームがJPX総研にヒアリングを行ったのは2024年6月のこと。その時の印象を三村氏はこう振り返ります。

「ヒアリングでお伝えした当社の課題感は、『働き方』に関するものでした。 WeWork の入居企業で、このトピックに関する知見やソリューションを持つところがあれば繋がりたいということをお伝えしました。」(三村氏)

多くの企業にも共通する課題であったためKABUTO ONE、ギンザシックス、東京スクエアガーデンという WeWork 3拠点のコミュニティチームによる「働き方改革」をテーマにしたイベントが実施されました。JPX総研だけでなく、多くの入居メンバー企業に新しい知見や問題解決になるソリューションを提供する機会として、WeWorkメンバーで働き方改革の課題に対応できそうな会社に依頼し登壇・ピッチをしていただき、交流の時間も設けました。

証券市場に詳しいAIスタートアップ企業と運命的な出会い

JPX総研はこのイベントで、 WeWork ギンザシックスに入居する生成AIを活用したツール開発などを手掛けるスタートアップ企業の「ひふみ株式会社」と出会うことになります。コミュニティチームはイベントに登壇する企業と事前に面談し、ひふみ株式会社が「金融・証券・会計×AI」という極めて稀なケイパビリティを持つ企業であることを突き止め、JPX総研にとってよい連携先になるのではと考え、イベントへの登壇を依頼していたのです。

「ひふみ株式会社様の技術は、当社が今後取り組むべき事業に直結するものでした。後から聞いたところ、コミュニティチームが事前にひふみ株式会社様に対し、当社がイベントに参加することを伝えていたそうです。その結果、スピーカーである代表取締役の畠田さんは、当社に焦点を当てたプレゼンテーションを行ってくれたとのことです。

協業によってビジネスを創出するためには、パートナー企業にも金融や証券市場のドメイン知識が欠かせません。そのため、AIを新たなビジネスに取り入れたいといっても、ただ単にAIを強みとするだけでは協業は困難です。ところがひふみ株式会社様は、代表の畠田さんが     会計事務所やコンサルティング会社在籍時代に培った金融・証券関連のドメイン知識も有しており、私たちが求めるパートナー像にぴたりとはまる存在でした。コミュニティチームの精度の高いヒアリングと拠点を超えたフォローアップがなかったら、出会えていなかったでしょう」(斎藤氏)

斎藤氏、三村氏と、WeWork KABUTO ONEのコミュニティチーム

イベント後すぐにJPX総研とひふみの2社間で話し合いが重ねられ、協業へと発展していきます。

両社が取り組んでいる内容は次のようなものです。各上場会社の株主総会招集通知に記載されている役員のスキル情報(経営経験、法律、会計など)を生成AIで抽出・集計するというものです。現在はAIが生成した集計結果の精度検証や、協力してくれる金融機関などのユーザーからほかに抽出したい情報やUI・UXに関するフィードバックを得てブラッシュアップを繰り返すPoCの最中だといいます。このほかにも、人の手では集計や分析が難しかったデータに関して生成AIを用いた新たなアプローチを模索していく計画とのことです。

今回のJPX総研とひふみの協業事例は、 WeWork のコミュニティチームによるサポートを通じて生まれた、課題解決型のパートナーシップの好例といえます。両社が協力して生み出すプロダクトは、金融市場に新たな価値をもたらすことが期待されています。
このような取り組みが、今後も WeWork を舞台にして広がるよう、入居企業同士の出会いやビジネス課題解決をサポートしていきます。

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