更新日:2023.07.05

今、求められる『WORKSTYLE』とは?

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イベントレポート

「働くって、楽しい!」

自分自身の「好き」を糧に

自分の価値観を大切に、働く場所と働き方を選ぶ

フレキシブルオフィスなら WeWork

終身雇用の時代は終わり、新型感染症の世界的拡大をきっかけにリモートワークやフレックス制度など新しいワークスタイルも定着してきています。個人が働く企業や場所、時間帯を自由に選べるようになりつつある今、企業は何のために存在し、人々は何のために働くのでしょうか?
2022年12月14日、WeWork 神谷町トラストタワー にて株式会社アイ・エス・エス・コンサルティング 代表取締役社長 関口 真由美氏が、複数の外資系企業におけるキャリアを経て現在はラグジュアリーブランドにて活躍されているシャネル合同会社 執行役員 人事総務本部 本部長 吉田 和子氏に、吉田氏が大切にしているPHILOSOPHYとWORKSTYLE、そして働くことの意味についてお話を伺いました。

「働くって、楽しい!」

関口:本日は、PHILOSOPHYとWORK STYLE、つまり働き方というテーマでお話を伺います。弊社は1996年に事業部から立ち上げた企業ですが、1995年と言えば、阪神・淡路大震災、Windows 95の発売、山一証券株式会社の倒産などがあった年です。当時と現在を比べてみると、働き方が大きく変わってきていると感じます。今日は、吉田さんのキャリアを振り返りつつ、これまでにどのような働き方の変遷があったのか、働くにあたって吉田さんが大切にしていることについてお話しいただければと考えています。

吉田:よろしくお願いします。私は長崎県長崎市で生まれ、佐世保市で育ち、高校卒業後は上京して上智大学に進みました。語学や外国に興味があり、文学が好きだったこともあり、英語以外の言語や文学を勉強したいと考えドイツ文学を専攻しました。卒業後はBMW Japanに入社しました。在学中に奨学金を得て一年ほどドイツの大学で勉強したので、ドイツの企業やドイツにゆかりがある日系企業をいくつか受け、自分には日本企業よりも外資系があっていると判断しました。

BMW Japanはドイツ南部バイエルン州を拠点とする企業です。自由でカジュアルな雰囲気が楽しそうだと思って入社しました。生家がサラリーマン家庭でないことで「企業」にどのような機能があるか、また自分にどのような仕事ができるかわからず、面接時に「自分ができるところに配属してください」と言ったほどでした。入社後は人事部に配属され、採用と研修を担当する課で研修を担当しました。ドイツ人の上司から「社内にある、さまざまな研修を体系立ててまとめてほしい」と課題を与えられ、企業のことも研修が何かもわからなかったので、いろいろな人に聞くところから始めました。人事部からスタートし、営業部やマーケティング部など多くの部署にヒヤリングし、皆が何を求めているかを聞いてまとめあげました。自分で考え仕事ができることがとても楽しかったですね。

関口:自分で考えて自分で動くという外資系企業での仕事のやり方が、ご自身にあっていたのでしょうか?

吉田:実は、当時の私のキャリアゴールは「海外赴任者の妻」でした。海外に住みたかったものの「自分で行く」という自主性はなく、1年か2年くらい働いて結婚して海外赴任に帯同すればいいかなと思っていたのです。でも、入社したのが本当に良い企業で、良い上司、同僚に恵まれて自由にやらせてもらえたので「働くってすごく楽しいんだ」と思えました。今もそうですが、課題を与えられるのは大好きです。でも、手順も含めて自分で考えたいというタイプですね。

関口:BMW Japanではどのくらい勤められましたか?

吉田:10年くらいです。初めの5年が人事で、何もわからないところから人事の勉強をさせていただきました。その後、営業部からスカウトされました。人事部長からも「ビジネスの最先端を見るのもいいでしょう」と言われ、営業関連の部署で営業とマーケティングを担当しました。ビジネスの理解が深まったこともよかったのですが、最もよかったのは、他の部署の人たちが人事部をどう見ているかがわかったこと。「こんな規則を作って、こんな説明じゃわからないよね」といった、人事部には面と向かって言わないようなことを営業チームの仲間である私に言ってくれるんですね。そういうことから、発信者目線でなく、その情報を受ける人たちの目線で考え、コミュニケーションする大切さを学びました。

関口:その後は米国企業に移られたと聞いています。

吉田:米国に本社をもつゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社(GMジャパン)です。BMW Japanにいたころに最初の子を出産しました。当時、社内にワーキングマザーはいたものの、お子さんが大きい中途入社の方だったりして、私が出産することになって初めて人事部の同僚たちがルールを作ってくれたほど新しいことでした。そのとき、エージェントから声をかけられて話を聞きに行ったのがGMジャパンでした。ワーキングマザーがたくさんいて、カルチャーが全然違っていましたね。

関口:どのように違ったのでしょうか?

吉田:ルールが明確で、効率よく、成果を重視するという働き方です。「子どもに何かあって帰らなければならないなら、仕事はだれかに託して帰っていい。もし自分で進めたいならパソコンを持って帰ればいい」と入社時に上司からはっきり言われました。育児をしながらの働き方についてとても明確な答えをいただいたので、安心して仕事ができました。6年半ほど働き人事部のヘッドになりましたが、会社の再構築が進んで自分のチームが小さくなってしまったことをきっかけに転職を考えました。私はチームで知恵を出しあって、みんなで作っていくという過程や、達成感を分かちあうことが好きだったのですが、それが難しくなってしまったのです。

ノバルティスファーマという製薬企業へ移り、事業部を担当するHRビジネスパートナーとして800名ほどが所属するオンコロジー事業部を担当しました。ノバルティスはスイスを本拠地とする企業ですが、オンコロジー事業部の本部は米国にあったためGMジャパンと似たような環境でした。また、HRビジネスパートナーは新しいファンクションだったのでひとりでスタートし、その後チームとなり、また複数事業部のみなさんと一緒に働いたりと、合計で10年ほど人事の視点からさまざまな課題を解決してきました。

自分自身の「好き」を糧に

関口:そしてシャネル合同会社へ行かれたのですね。どのような理由でしたか?

吉田:特に転職を考えてはいなかったところに、お話をいただきました。私自身、すごくブランドが好きというタイプでないので「たぶん先方が求めている人物像と合わないと思う」と最初に伝えたのですが、それでも一度会ってみてはと促され、前任の人事総務本部長にお会いしました。続けて社長やフランス本社の人事ヘッドにもお会いしました。みなさん、とても人間味があり魅力的な方だと感じました。

キャンディデートエクスペリエンスという言葉がありますが、シャネルの面接で私もおもしろい体験をしました。これまでの転職の時とは聞かれる質問がかなり違っていたのです。当時の社長からは趣味は何かと聞かれ、クラシックバレエを観るのもやるのも好きですと答えたら、とても興味を示してくださって楽しくお話しました。また、本社の人事ヘッドからは、なぜドイツ文学を学ぼうと思ったのか聞かれ、その人もイタリア文学を学んだとのことで文学談義に花が咲きました。通常の入社面接らしくなかったですね。

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自分の価値観を大切に、働く場所と働き方を選ぶ

関口:パンデミックで店舗が開けられなかったときなどもありましたが、シャネルではどのような働き方をしていますか?

吉田:テレワークやフレックス制度は以前からありましたが、介護や育児等で必要な人以外にはほとんど使われていませんでした。ただ、コロナ禍で急速に普及し「リモートワークでもこんなにできるんだ」とみんなが体験できたのは大きかったです。たとえば、エデュケーションチームは社員が自分の携帯電話でアクセスできる研修コンテンツを準備し、トレーニングを自宅でできるようにしました。これをきっかけに自分のペースで勉強するという習慣が根づき、今でもそれが習慣になっています。

一方で、私たちは人間らしさや人を大事にする会社で、つまり、ひとりひとりを尊重し、関係を大事にするという考え方に立っています。直接会って話をすること、話しあうことでインスピレーションを受け化学反応を起こすことを大切にしています。オフィスで働く社員は、今はハイブリッドワークで週二日までテレワーク可能というガイドラインをもとに働いており、深夜を除いたスーパーフレックスも導入しています。が。個人のパフォーマンスとともに、チームや会社としてのパフォーマンスも大事にしていますので、社員の皆さんにはどうやったら個人としてもチームとしてもパフォーマンスが出せるかを上司と話しあいながら決めてくださいと伝え、働き方に制限をかけすぎないようにしています。

関口:吉田さんの働き方はシャネルで変わりましたか?

吉田:私は週に1日または2日ほどテレワークし、他の日は出社したり出張したりしています。自分という人間のまわりに仕事やバレエがあって、それらすべて含めての「私」なので、自分がやりたいことをうまく自分のスケジュールに入れていきますし、「私」や家庭を犠牲にして働くのはサステナブルでないと考えています。芸術を大切にし、一見仕事に関係ないようなことからも学ぶことの大切さを奨励する会社のカルチャーにも後押しされ、余暇もしっかり取っています。

関口:働き方は、企業のフィロソフィーやカルチャーによって決めていくべきことですね。抽象的な話になりますが「何のために働くのか?」という問いをどう考えていますか?

吉田:私自身の答えですが、だれかと一緒に働くこと、チームで何かを達成することが心から好きで、そのために働いていると考えています。人が成長する姿を見るのがとても嬉しいから、というのもありますね。

先に述べたように、ワークかライフかでなく、ひとりの人間のまわりにはいろいろなものがあり、仕事はそのひとつです。どのような人生を歩みたいかによって仕事の比率は変わりますし、企業と自分、社会と自分、家族と自分のようにさまざまなつながりがあるものなので、自分が今ここに存在していることの意味や貢献できることを見つけられるかどうかを考えるべきでしょう。ポジションやタイトルにこだわらず、自分の価値観にあう、自分自身が幸せを感じられる企業や働き方を見つけていくことが最も大事だと思います。

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・本記事の内容は、公開日時点の情報をもとに作成しています

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