更新日:2025.08.13

「Innovation Cities パネルトーク vol.4 〜量子コンピュータによるまちづくり〜 」 を開催

コンテンツタイプ

イベントレポート

WeWork には、大企業やスタートアップ、自治体など、多様なメンバーが入居しており、メンバー間をつなぐコミュニティチームによるイベントやマッチング支援により、コラボレーションやイノベーションが生まれ続ける仕組みづくりを促進しています。

WeWork では、以下の6つの注目分野ごとプロジェクトを立ち上げ、イノベーション創出に注力しています。

注力分野の一つ「スマートシティ」の最前線に触れ、共に高め合うコミュニティと出会う場を提供する「スマートシティプロジェクト」はイベントの定期開催を行い、本イベントはその第四弾となります。

「まち」の日常にある様々な問いにどう向き合えばいいのか。そこで注目されているのが、量子コンピュータです。本イベントでは「都市の未来を動かす “ 量子のチカラ ” に、今、触れてみよう」をテーマに、量子技術の実例をわかりやすく紹介し、「都市の未来」を考えました。量子コンピュータは、超高速で膨大な可能性を同時に計算する最先端テクノロジーでありながら、応用先は意外にも私たちの暮らしのすぐそばにあるようです。

<イベント概要>

Innovation Cities パネルトーク vol.4  〜量子コンピュータによるまちづくり~

日時:6月12日(木) 18:30-20:30

場所:WeWork 渋谷スクランブルスクエア

共催:blueqat株式会社

登壇企業・団体:blueqat株式会社 / 株式会社長大 /日本量子コンピューティング協会 / TOPPAN / NEDO / 札幌市 / 大分県

3分でわかる WeWork

3分でわかる WeWork

WeWork を知らない人はまずこちらを

① blueqat株式会社 湊 雄一郎 氏

「量子コンピュータとは、CPU、GPUに続く新しい原理で動作する次世代のコンピュータであり、新技術の計算をつなぎ問題を解決に導くことができるものである」ことをご説明いただきました。

自動車の自動運転や新エネルギー、植物工場、空飛ぶクルマなどの研究開発が進んでおり、blueqatでは、量子コンピュータが計算した化粧品を処方したクレンジングの開発や、大分県自動車走行軌跡最適化、飛騨高山の観光促進に取り組んでいます。また、量子計算による農業・水産業の費用削減や改善が進む例として、いちご栽培の自動制御や水産予測、サプライチェーン最適化などの取り組みもご紹介いただきました。

すでに身近な生活をよりよくしてくれている量子コンピュータ。生成AIをはじめ、その組み合わせや使い方によって、まちづくりをどのように改善できるかをお話しいただきました。

② 株式会社長大 高野 秀隆 氏

「量子技術で未来を拓く」をテーマに、複雑化する社会課題と、スマートシティを更に進化させる量子技術の可能性について、クオンタムシティ構想を事例にお話しいただきました。

「クオンタムシティ構想」とは、量子技術を活用し交通・エネルギー等の都市インフラを最適化して社会課題を解決し、持続可能で効率的な未来都市を実現しようとする構想です。地方都市の社会課題を解決するために、量子技術という新たな手段を提示し、長大とともに実証実験から社会実装まで一緒に進めましょうと呼びかけました。

 

③ 日本量子コンピューティング協会 寺園 諒雅 氏 

量子コンピュータの技術者の将来性と育成プログラムが紹介されました。

日本量子コンピューティング協会では、量子エンジニア講座や量子ジェネラリスト講座をはじめ、各技術者のトレーニングを提供しています。

現代の科学技術における最も刺激的で未知の領域の一つである量子技術の分野において、世界的なリーダーシップを目指していきたいと話しました。

 

④ TOPPANデジタル株式会社 鳥羽 牧 氏 

「TOPPANの量子技術への取り組み」として、印刷を主軸にした老舗企業が、量子技術に取り組むようになった経緯と、TOPPANデジタル株式会社として分社化し、量子情報科学技術部としての5年間の歩みをご紹介いただきました。

ICカードの製造・発行や利用明細の印刷・発送によって個人情報や機密情報を扱っていたTOPPANでは、お客様からの高い「信用」を競争力としていました。しかし、量子コンピュータの進化による暗号の危殆化を予測した同社は、量子コンピュータが実現すると起こるであろう事象について実証実験をはじめたそうです。

現在も、国立研究開発法人情報通信研究機構やカナダの研究機関とともに、耐量子計算機暗号と現行暗号のハイブリッド対応が可能なICカードシステムの開発や、東芝デジタルソリューションズとともに工場倉庫内のピッキングルートおよび棚配置の最適化に取り組み、その成果に注目が集まっているそうです。今後も進んでいく量子セキュリティへの取り組みをお話しいただきました。

 

⑤ 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 大城 智隆 氏

NEDOは、エネルギー・地球環境問題の解決や日本の産業技術力の強化のため、委託事業や補助金などを通じて技術開発を支援する政府の機関です。産学官連携で、事業化・社会実装まで導くことで社会課題の解決を目指しています。

NEDOでは、量子の社会実装を支援するユースケース開発事業や量子懸賞金活用プログラムを実施しており2024年度には「量子コンピューター ユースケース事例集」を発行、量子事業に取り組むスタートアップ企業などを支援しています。

⑥札幌市 北舘館 絢子 氏

半導体・デジタル産業の集積地を目指す札幌市の取り組みに加え、札幌市の強みである人材の豊富さ、大学・研究機関の集積、イノベーションエコシステムが構築されやすい環境、テストフィールドとして最適な広大な土地、充実した都市機能、さらには北海道大学等と連携して行う半導体人材の育成や研究開発の推進に向けた取組についてお話しいただきました。

また、札幌市による賃料補助や税制優遇などの企業進出をサポートする制度をご紹介いただきました。

 

⑦大分県 平野 敬洋 氏

「大分県における量子コンピュータ活用の取り組みと可能性」をテーマに、大分県の現状と課題として、ものづくりの街でありながらの人口減少が進んでいる点や、コンビナートの影響でCO2の排出量が多いという課題を説明。また、研究や開発にあたって、持っているデータが自由に使えなかったり、職員の理解を得るのが難しかったりというという行政ならではの課題もあげ、繋ぎ役、マッチングの存在が不可欠であるとご説明いただきました。

現在進んでいる取り組みについては、先に登壇したblueqat株式会社をはじめ4社連携協定を全国で初めて締結し、睡眠をテーマに、睡眠の質向上や、生活習慣が与える睡眠への影響を分析し、最適化モデルを作るといった取り組みが進んでいることをご紹介いただきました。

また、災害対策、結婚支援、温暖化、ヘルスケア、観光戦略、交通対策など、自治体の課題と量子コンピュータのマッチングの可能性が語られました。

 

パネルトーク後は、交流会を開催。登壇企業・団体からは「まちづくりにおける自社の取り組みの認知度向上に繋がった」「協業等に繋がる可能性のある企業や団体とが出会うきっかけができた」「オーディエンスの方から、北海道をテストフィールドに、実証試験をご希望頂いた」といったコメントが寄せられました。

WeWork Japanは今後も、イベントの定期開催やその後のサポートを通し、入居メンバーの皆様とともに、スマートシティ分野のイノベーションの創出を推進してまいります。

カテゴリーから探す

イベントレポート

一覧を見る ➝