合同会社とは?
合同会社設立のメリット
合同会社設立のデメリット
合同会社と株式会社の違いとは
合同会社設立の手続きについて
まとめ
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合同会社設立の手順や必要な書類、メリットやデメリットについて詳しく解説します。合同会社の設立を検討している方に向けて、必要な情報をお届けします。
合同会社とは?
合同会社とは、2006年5月に施行された新会社法により設立が可能となった会社形態です。現在、日本で新しく設立できる会社の形態は「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類あり、そのうちの1つです。法人格を持ち、有限責任社員と呼ばれる会社債務に対し出資額の限度においてのみ責任を負う社員で構成されます。社員は出資額の範囲内で責任を負うため、個人の資産が保護されやすい点が特徴です。また、合同会社はアメリカのLLC(Limited Liability Company)に類似しており、経営の自由度が高いとされています。
合同会社は、主に以下のような事業に向いています。
1. スタートアップ企業
柔軟な経営体制が可能で、設立コストが低い点が特徴です。スタートアップは迅速な意思決定が求められるため、合同会社のフレキシブルな経営が適しています。
2.IT企業
技術革新が激しく、迅速な対応が必要なIT企業には、出資者が直接経営に参加できる合同会社が適しています。
3.小売業
家族経営の店舗などで多用される傾向にあります。合同会社は小規模での経営がしやすいため、小売業に適しています。
4.飲食業
開業資金が限られるケースに向いています。設立費用が低いため、飲食業のような初期投資が重要な業種に適しています。
5.フリーランスのグループ
複数人で共同事業を行う際に便利です。フリーランスが集まって共同で事業を行う際に、合同会社の形式が適しています。
6.コンサルティング業
少人数での運営が可能であるため、専門知識を活かしたコンサルティング業務では、出資者が経営に直接関与できる合同会社が適しています。
7.クリエイティブ業界
デザイン事務所やアートスタジオなどが向いています。クリエイティブな分野では、柔軟な運営が求められる場面が多々あるため、合同会社の形式が有効です。
合同会社設立のメリット
合同会社の設立には多くのメリットがあります。例えば、低コストで手続きが簡便、出資者全員が経営に参加できる柔軟な経営体制、利益配分の自由度が高い点が挙げられます。出資者は有限責任で個人資産が保護され、近年では信用力も向上しています。中小企業やスタートアップに特に適するとされる、合同会社設立のメリットを以下示します。
メリット1: 設立費用が安い
合同会社の設立には、株式会社と比べて初期費用が低く抑えられます。一般的に、会社を設立するには法務局で登記を行う必要があり費用がかかりますが、設立登記にかかる登録免許税が株式会社の場合15万円なのに対し、合同会社は6万円と安価です。
また、株式会社は公証役場で証明を受ける必要がある一方、合同会社は定款の認証が不要です。この分の費用がかからないことで、起業時の資金負担が軽減されます。
メリット2: 柔軟な経営体制
株式会社の場合、会社の方針や重要事項を決定する際には、会社法で定められた株主総会を開く必要があります。一方で、合同会社は出資者がそのまま経営者となるため、意思決定が迅速に行え経営の自由度が高くなります。また、定款により柔軟な運営が可能なため、経営戦略の変更や新規事業への対応がスムーズに行えます。
メリット3: 利益配分の自由度
合同会社では、出資額に関係なく利益配分を自由に設定できます。これにより、貢献度に応じた配分が可能です。例えば、出資額が少なくても事業への貢献が大きい社員には多くの利益を分配することができます。通常、会社の利益は配当という形で出資者に分配されます。一例として、会社法で定められた株式会社においては出資比率に応じて株主への利益配分が決められるのに対し、合同会社においては技術力や業績など、出資額だけでない要素で定めることができます。
メリット4: 事務手続きが簡素
株式会社と比較した際、合同会社は定期的な株主総会の開催義務がありません。また、役員の任期も定める必要がなく、合同会社では無制限で手続きも簡素です。役員の任期が終了するたびに発生する重任登記の登録免許税(約1万円から)も不要となります。
メリット5: 社員の有限責任
合同会社の社員は出資額の範囲内でのみ責任を負うため、リスクが限定されます。これにより、個人資産の保護が図られます。特に事業が失敗した場合でも、個人の財産が差し押さえられるリスクが低くなります。
メリット6: 名称の自由度
合同会社の名称は株式会社に比べて自由度が高いです。商号に「合同会社」を含める必要はあるものの、その他の名称には特に制約がありません。株式会社などと比較した際に、より独自性のある名前を付けることができます。
合同会社設立のデメリット
一方で、合同会社の設立にはデメリットも存在します。信用力が株式会社に比べて低く、外部からの資金調達が難しい点や、出資者全員が経営に関与するため意見の調整が必要となり経営が複雑化する点です。以下、その概要を示します。
デメリット1: 信用力の低さ
合同会社は株式会社に比べて全体数や知名度に劣るため、社会的信用力が低いのではないかと懸念されることがあります。特に、場合によっては取引先や金融機関からの信用度が低い場合もあり得ます。これにより、契約締結や融資の取得が難しくなることがあります。ただし、近年では合同会社の設立が増えていることから、以前と比較すると信用力を得られる場合も見られています。
デメリット2: 出資の集めにくさ
株式会社と比較すると、合同会社は株式を発行できないため、資金調達が行いにくい場合があります。また、株式上場もできないため、出資者の募集が限定的です。大規模なプロジェクトの資金調達には不向きなため、将来的な株式上場を目指すのであれば、会社法に基づく株式会社の設立がおすすめです。
デメリット3: 成長の制約
合同会社は出資者が経営に直接関与し、すべての出資者が対等の決定権を持ちます。迅速な意思決定ができる一方で、大規模な事業展開には向いておらず、成長に伴う組織変更が必要になることがあります。事業が拡大し多くの出資者が必要になった場合に株式会社へ変更することが必要になることがあります。
デメリット4: 知名度の低さ
合同会社は株式会社に比べて知名度が低いため、特に海外取引においては不利になる場合があります。外国の取引先が合同会社の制度を理解していない場合、信用を得るのが難しくなることがあります。とはいえ、昨今では、Apple やアマゾン、Googleといった有名企業が日本支社を合同会社で設立しています。外資系企業をはじめ、迅速かつコスト効果の高い市場参入を実現するために合同会社という形態が重要視されていることから、今後は国内でも合同会社という形態が浸透していくことでしょう。
合同会社と株式会社の違いとは
合同会社と株式会社にはいくつかの違いがあります。それぞれの違いを比較してみましょう。
ー合同会社
・設立費用:約6万円
・経営体制:出資者が経営者
・利益配分:自由に設定可能
・社員の責任:有限責任
・事務手続き:簡素
・社会的信用力:低い
・資金調達:難しい
ー株式会社
・設立費用:約15万円
・経営体制:株主と取締役が分離
・利益配分:出資比率に応じて配分
・社員の責任:有限責任
・事務手続き:定期的な総会開催が必要
・社会的信用力:高い
・資金調達:株式発行により容易
合同会社と株式会社の大きな違いは、所有と経営の分離にあります。株式会社では、株主(出資者)が経営者に会社の経営を委任し、経営者が業務を行います。一方、合同会社では出資者自身が業務執行の権限を持ち、会社の業務を行います。
また、株式会社では出資比率が高い株主ほど会社への発言力が強くなります。これに対し、合同会社では出資割合に関係なく、議決権の割合を自由に決めることができます。
合同会社は設立費用が安く、柔軟な経営体制を持つ一方で、信用力や資金調達の面で株式会社に劣ることがあります。株式会社は設立費用が高く経営体制が複雑ですが、社会的信用力は一般的に高く、資金調達が容易です。
合同会社設立の手続きについて
合同会社の設立には以下の手続きが必要です。
手続き1: 基本事項の決定と定款作成
社名、事業内容、本店所在地、資本金の額、決算期などの会社の基本的な事項を決定した上で、まず定款を作成します。定款には会社の基本情報や運営に関する規定を記載する必要があります。なお、会社設立時の最低資本金は1円から可能です。定款作成は行政書士や司法書士に依頼した上で対応すると、スムーズに進められます。
手続き2: 定款の認証
合同会社でも定款の作成は必要ですが、公証人による認証は不要です。株式会社の場合とは異なり、その分費用と手間が省けます。紙の定款の場合、収入印紙代として約4万円が必要ですが、電子定款の場合は不要です。
手続き3: 出資の履行
定款に定めた出資金を各社員が払い込みます。出資の方法としては、現金での出資が一般的ですが、物的出資も可能です。手続きは株式会社と同様で、金銭であれば、金融機関の自分の預金口座から出資金をいったん引き出したのち会社の口座へ入金し直す必要があります。振り込まれた出資金は、会社の設立資金として用いられます。
手続き4: 設立登記の申請
法務局に設立登記を申請します。会社の本店所在地を管轄する法務局に必要な書類を揃えて提出し、登録免許税を納付します。必要書類には、設立登記申請書、定款、出資の払込証明書、社員の同意書などがあります。通常、登記申請から1週間程度で登記が完了します。
手続き5: 登記完了後の手続き
登記が完了した後は、会社印の作成や銀行口座の開設、各種許認可の取得などを行います。他には、税務署への法人設立届出書提出などが挙げられます。会社印は会社名を含む印鑑で、契約書や銀行取引に使用されます。金融機関の口座開設手続きには「履歴事項全部証明書」(登記簿謄本)が必要な場合がありますので、法務局で数通取得しておくと役に立つでしょう。
手続き6: 社会保険・労働保険の加入
従業員を雇用する場合は、社会保険や労働保険への加入手続きが必要です。所轄の役所で手続きを行います。社会保険には健康保険および厚生年金保険、労働保険には雇用保険と労災保険の手続きが含まれます。
手続き7: 事業開始
全ての手続きが完了したら、事業を開始します。必要に応じて広告やマーケティング活動を行い、事業を軌道に乗せましょう。営業活動を開始する前に、必要な許認可やライセンスを取得することもお忘れずに。
出典:unsplush
まとめ
合同会社の設立には多くのメリットがあり、特にコストや柔軟性の面で優れています。一方で、信用力や資金調達の難しさといったデメリットも存在します。合同会社設立を検討する際は、本記事で紹介した手順を参考にしてみてください。
合同会社の設立手続きは比較的簡単であり、設立費用も抑えられるため、特に初めての起業に適しています。また、柔軟な経営体制や利益配分の自由度が高いため、小規模から中規模の事業にも向いています。一方で、信用力や資金調達の面で株式会社に劣る部分もあるため、自社の事業計画や将来の展望に応じて、最適な法人形態を選ぶことが重要です。
最後に、合同会社設立を考える際には、必要な手続きや書類をしっかりと確認し、スムーズに事業を開始できるよう準備を進めましょう。
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