公開日:2023.03.06|更新日:2024.02.08

【スペースの科学】ABW実践のための究極ガイド

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アクティビティ・ベースド・ワーキングとは

ABWを定義する四つの要素

アクティビティ・ベースド・ワーキングの原点

ABWへの移行には、発想の転換が必要

マインドセットと空間デザインをともに変える

柔軟で、人を中心とした働き方なら WeWork

ワークスペースはエンゲージメントを育み、イノベーションを刺激し、生産性を向上させる強力なツールです。では、最適なワークスペースとはいったいどのようなものなのでしょうか? 本シリーズ、Science of Spaces(スペースの科学)では、意図をもって実現されたデザインの科学が、どのように労働環境を全人的な体験に変えられるかを探っていきます。今回は、アクティビティ・ベースド・ワーキングが、従業員と企業にとってどのように役立つかをご紹介します。

 

 

テクノロジーの進歩により、オフィスに固定デスクを持つという従来の働き方は、着実に衰退しています。そのかわりに、リビングルームのようなラウンジ、ブレーンストーミングをサポートする書き込み可能なデジタルボードを備えたプロジェクトルーム、プライベートな通話もできるフォンブースなど、多種多様な用途に使えるスペースをもったワークプレイスが登場しています。

アクティビティ・ベースド・ワーキングの世界へ、ようこそ。

アクティビティ・ベースド・ワーキングとは

アクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working/ABW)とは、従業員が自分の仕事内容に応じてワークプレイスを選択し、そのワークスペースを一日を通して使えるようなワークプレイス体験を指します。これは、従業員が達成すべきタスクに適したワークスペースがあれば、より生産性が高まるという考えに基づいています。

テレビ番組や食事、音楽、旅行などあらゆるものが「オンデマンド」になっている今日、ワークスペースも同じようにあるべきではないでしょうか?

ABWを定義する四つの要素

とはいえ、ABWはオフィスにソファやフォンブースを置けばおしまいというものではありません。ABWをオフィス内で実践するには、デザイン、感覚的な体験、行動面の強化、反復学習という四つの要素が必要です。

1 デザイン

ABWの実践には、ひとつの屋根の下でさまざまなタイプのワークスペースがデザインされていることが必要です。書斎に机を置けば、必要なときにいつでも静かに集中できます。クライアントと打ち合わせするときのために、予約制の会議室があれば便利です。ランチを食べながらチームで共同作業をしたいのなら、レストランスタイルのブースに集まりましょう。同僚とちょっと電話したいのなら、フォンブースへどうぞ。このように、それぞれのアクティビティに対応するスペースタイプが用意されています。

2 感覚的な体験

ABWを実践するワークスペースは、従業員にスペースの使い方をはっきりと、または暗に示す必要があります。業務内容によって高エナジースペースと低エナジースペースのどちらにアクセスする必要があるのか、その瞬間にどのスペースが自分にとって適切かを従業員が容易に判断できるようにするのです。

WeWork のパントリーは、高エナジースペースのひとつです。拠点内に入ると、淹れたてのコーヒーの香りがし、スピーカーから音楽が流れ、その場にいる人のエネルギーを感じることができます。このような要素は人々を惹きつけ、コーヒーを手に同僚とおしゃべりすることを促されるように感じさせます。一方、ニューヨークにある WeWork 本社の書斎は、足を踏み入れたその瞬間から静かで、プレゼンテーション用の資料作成やデザインプロジェクトに集中するには最適なスペースです。

このように、異なった環境要素がデザインという物理的な要素の上を覆うように機能することで、それぞれのスペースの異なった使い方を本質的に共有することが可能となります。

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3 行動面の強化

ふさわしいデザインと感覚的な体験があれば、人々はそれが何のために用意されているかに気づけるため、ワークスペースそのものが効果的に機能します。書斎では静かにする、通話はフォンブースを使う、他の人とスペースを共有するので私物は持ち歩くといった行動面での強化が期待できるからです。また、いくらコーヒーが無料でも、従業員がデスクから離れることをリーダーが好ましく思わないのであれば、パントリーでミーティングするといったことは不可能なので、チームやリーダーから自分の状況や業務の都合に合わせてワークスペースを使う権限を与えられていると感じられることも欠かせません。

4 反復学習

企業のリーダーがマインドセットの変化を完全に受けいれ、進化しつづけるワークプレイスのデザイン、行動、プログラミングを組み合わせたときに初めて従業員がABWのような新しいワークスタイルを実践できるようになります。リーダーが質的および量的なデータを用いてフィードバックループを作り、ワークスペースの改善にその結果を活用すれば、ABWの実践は成功するでしょう。

アクティビティ・ベースド・ワーキングの原点

ABWは、オンデマンド文化に自然にとけこむものですが、そのコンセプトは決して真新しいものではありません。1983年に米国の建築家ロバート・ルケッティが、タイピングや会議など、さまざまなオフィスワークのための「アクティビティ・セット」を作るというアイデアを共同発明したのが始まりです。当時の米国ではなかなか普及しませんでしたが、オーストラリア、デンマーク、オランダ、スウェーデンなどでは、すぐに採用されました。

「アクティビティ・ベースド・ワーキング」は、The Demise of the Officeを書いたオランダのコンサルタント、エリック・ベルデホーエンがThe Art of Workingで用いた言葉とされています。1990年代、オランダの大手保険会社であるインターポリスと提携し、オフィス全体にABWを導入しました。インターポリスの従業員は、ABWがもたらす真の柔軟性と自由を理解し、全面的に実践しました。固定デスクを廃止し、いつ、どこで、どれだけの時間働くかを決める完全な自律性を社員に与えるよう管理者に促したのです。

インターポリスが採用した新しいワークスペースの柔軟性は、企業文化にも浸透していきました。従業員は出退勤の時間を気にすることも、一日中、一か所で座ったり立ったりしなければならないというプレッシャーを感じることもなくなりました。企業が掲げるのは「仕事が終わればいい」だけです。

「今日、最も効果的なマネジメントスタイルは、命令と統制でなく信頼と自主性に基づいて構築されています。物理的な空間はこの信頼と自主性を補強し、反映します」と WeWork で応用研究を担当するクレア・ローウェルは述べています。「従業員が毎日決まった一か所で座ったり立ったりしなければならないことをストレスに感じると、『上司は私のパフォーマンスを評価しているだろうか? それともオフィスでの存在感を評価しているのだろうか?』と考えはじめてしまうでしょう。」

Photo by Adolfo Félix on Unsplash

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ABWは、これまでのオフィスのあり方と大きく異なります。「伝統的な」オフィスとは、ある人にとってはパーティションで区切られたオフィス、ある人にとってはローパーテーションで間仕切りされたオープンプランオフィスを意味しますが、どちらにおいても「柔軟性のなさ」を意味します。「従来のオフィスレイアウトは、もはや意味をなしません」とローウェルは言います。「最高のパフォーマンスを発揮できるのは、従業員が好きなときに、好きな場所で、好きなように働けるよう企業が促したときです。」

CBRE Americas Occupier Survey 2018によると、企業のワークプレイス担当者の45%が、効率性と柔軟性を考慮してABWを可能にするワークスペースへの移行を検討しており、より柔軟性あるワークスペースへの関心の高まりがうかがえます。

ABWへの移行には、発想の転換が必要

ABWは企業のリーダーに「役職や専門知識に関係なく、従業員は何を必要としているのか?」と問いかけます。そして、従業員が必要なときに必要なだけ、どのスペースも使えるよう従業員を信頼し、権限を与えなければなりません。これらの点で、多くの企業にとっては発想の転換が必要となります。

政府や企業のためにインフラ資産の建築、設計、コンサルティングなどを行う多国籍企業AECOMの上級副社長兼グローバル不動産リーダーであるルイジ・スキアバラシ氏は、「私たちが抱える最大の障壁は、人々がこれまで経験してきた従来の仕事文化から脱することです」と言います。

新しいワークスタイルや柔軟な職場環境を全員に浸透させるには、教育、IT投資、従業員の意見を組み合わせることが必要です。AECOMはプロジェクト前にアンケート調査を行い、従業員の働き方や必要なツールと不足しているツールを把握し、常に耳を傾け、提供するサービスを改善するようにしています。

マインドセットと空間デザインをともに変える

ABWでは、マインドセットの転換が重要です。これまでは、ワークプレイスの変化に対応する責任は、主にスペースにいる人々にありました。しかし、これからのワークプレイスでの成功は、人とスペースが共に適応し、進化していくバランスにかかっていることに注目するべきです。スペースは「静的で不変なもの」でなく、「柔軟で適応性を有するもの」と考えることにチャンスがあるのです。

この考え方は、不動産の未来とも類似しています。WeWork のグローバル不動産アドバイザリー責任者であるジョン・ルイスは、「3年以上先の従業員数すら計画されていないのに、なぜ15年契約の一般賃貸を利用するのでしょう」と問いかけます。「WeWork はアジリティを採用することで、これまでの賃貸モデルを破壊しました。私たちは、不動産を静的な資産でなく、流動的な資産として見るのです。」

これまで、不動産における選択肢では、新しいワークスペースの設計、建設、物流といったフロントエンドに重点が置かれていました。一度契約し、入居してしまうと、賃貸期間やスペースのデザインなどを変更することが簡単ではなかったのです。皮肉なことに、スペースのデザインや機能性が従業員にどのような影響を与えているかを理解するのは、従業員が完全に定着した後でなければできませんでした。ですから、これまでの賃貸モデルでは、通常業務に支障をきたすことなくデザイン変更を実施できるようになるまでには、10年や20年以上かかってしまう可能性があったのです。

不動産とワークスタイルエクスペリエンスの両レベルにおける変化を完全に受けいれて活用するのなら、企業のワークプレイスへの取り組みは根幹から再構築できます。つまり、従業員にとってより人間らしいワークプレイスに近づくと同時に、企業の利益にもつながるのです。

柔軟で、人を中心とした働き方なら WeWork

WeWork(ウィーワーク)は、国内7都市*(東京、横浜、仙台、名古屋、大阪、神戸、福岡)にて、フレキシブルオフィスを運営しています。

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