WeWork メトロポリタンプラザビルにて、朝日酒造株式会社 渡邉大輔氏・長浜谷汐美氏

公開日:2024.08.30|更新日:2024.08.30

BtoCマーケに重要な「お客様との接点づくり」を強化。日本酒「久保田」で知られる朝日酒造の WeWork 活用

WeWork を選択したことで複数の課題が一挙に解決

WeWork を会場としたイベントで「久保田」への興味喚起を促進

マーケティング施策での成果と新たな領域への挑戦

新潟県に本社を置きながら、東京をはじめとして日本全国・世界がマーケットである朝日酒造株式会社。「久保田」の銘柄で広く知られるこの酒造メーカーは長年に渡り、日本の各都市、そして海外への販路拡大・販売促進に取り組んでいます。消費財・嗜好品メーカーがWeWork を活用するメリットや実際の取り組み事例、そして成果について、同社の経営企画部 マーケティング課 マネージャーの渡邉大輔氏と、同部の長浜谷汐美氏にお聞きしました。

■課題
・作業スペースと会議スペースが不足。個室がないことによる情報管理の課題もあった
・「お客様との接点づくり」となる対面イベントの開催に多大なコストと労力がかかっていた
・新プロジェクト「KUBOTA GIN」のハブとして相応しい拠点が必要に

■WeWork を選んだ理由
・WeWork には共有の会議室の他にフォンブースもあり、社内外の関係者と情報の機密性を保ちながら業務が進められる
・WeWork の拠点をイベント会場として利用することで会場費がゼロに。さらに集客や運営のサポートなどもあり、労力も大幅に削減され、高頻度での開催が可能になった
・新プロジェクトの成否を分かつ外部スペシャリストとのコミュニケーションが発生。その拠点として WeWork が最適だった

WeWork を選択したことで複数の課題が一挙に解決

――2023年の7月に WeWork メトロポリタンプラザビルに入居され、1年が経ちました。すでに東京オフィスを構えているのに、なぜ WeWork の利用を選んだのでしょうか。

渡邉:東京オフィスが立ち上がったのは、1972年のことです。本社のある新潟からのアクセスを考慮し、東池袋の一般賃貸オフィスを借りました。それから2017年まで営業の拠点として機能していましたが、マーケティングや経営企画、事業開発のメンバーも東京オフィスを利用することになり、徐々にスペースが手狭になっていきました。そこで、同じ池袋にある WeWork(メトロポリタンプラザビル)を利用することにしたのです。

現在は、従来の賃貸オフィスは営業、 WeWork はマーケティングと経営企画、事業開発のメンバーの活動拠点となっています。経営企画は本社にメインの部隊があり、東京は本社と連携して動いています。

朝日酒造株式会社 渡邉大輔氏と長浜谷汐美氏

朝日酒造株式会社 渡邉大輔氏と長浜谷汐美氏。WeWork メトロポリタンプラザビルの会議室にて

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―― WeWork にあるのは、いずれも将来の事業展開に関わる機能という印象を受けます。

渡邉:少なくとも私が担当するマーケティングに関していえば、東京は国内最大の市場であり、その場所に活動拠点を置くことは当然です。一方で事業開発は新設された部署ですが、こちらも新規事業を進めるに当たり、東京のクリエーターにお力添えいただく機会が多くあります。その際に、打ち合わせのできる広くて快適なスペースが必要になります。 WeWork (2024年7月現在は6席のプライベートオフィスを利用) は、情報収集を行うのにも適しており、機動力高く働くことができるオフィスです。

―― WeWork を併用することになった背景には、人数増によってスペースが手狭になった以外にも理由があったのでしょうか。

渡邉:新しい施策の立案・実行に伴って、外部協力者などとの打ち合わせも多くなり、ミーティングスペースがひっ迫していたことは大きな課題でした。また、ミーティングスペースが完全な個室になっておらず、情報の機密性についても検討の余地がありました。

長浜谷:コロナ禍を経て増えたオンラインミーティングにおいても、会議室同様、専用のスペースがないため声が周囲に漏れるなどの課題が挙がっていました。その点も WeWork なら、会議室の他にオンラインミーティングに適したフォンブースなどの設備があるので対応できます。

渡邉:私は人事評価にも関わっており、メンバーとオンラインで面談する機会が多いのですが、これまでの賃貸オフィスでは難しく、自宅で対応することもしばしばでした。これも WeWork なら問題なく行えるので助かります。

長浜谷:この WeWork メトロポリタンプラザビルは、池袋駅から直結と利便性が高い立地です。また、打ち合わせなどで出かけた際は、近くに WeWork があれば予約してデスクを利用できますし、使い勝手の良さを感じます。

また、私は作成した資料を出力することが多いため、複合機や機密書類シュレッダーなど業務上必要なインフラが整っていることにメリットを感じていますし、一般的なオフィス環境と同様に業務に集中できます

WeWork の利便性について語る長浜谷汐美氏

WeWork の利便性について語る長浜谷汐美氏

3分でわかる WeWork

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渡邉:私は、WeWork 入居検討のプロセスに関わったわけではありませんが、別の賃貸オフィスを追加で借りるか、 WeWork を利用するかの二者択一だったと聞いています。決め手となったのは、利用までの手続きの容易さがあります。WeWork は、電話やインターネット、複合機などの設置、机や椅子、キャビネットなどの什器購入やレイアウトにかかる手間がなく、入居後すぐに業務を開始でき、コストも抑えられます。そうした複合的なメリットを考慮して、 WeWork を選択することになったようです。最終的に WeWork の活用を決めたのは経営企画部長ですが、決める際に「いまどきの働き方だよね」と言ったそうです。

WeWork を会場としたイベントで「久保田」への興味喚起を促進

――入居以来、WeWork を活用してイベントを開催していらっしゃいますがどのようなメリットがあるのでしょうか。

渡邉: 私たちマーケティングからすると、 WeWork には先に挙げた以外の大きな魅力があります。それは WeWork でイベントが実施できることです。われわれが扱っているお酒という商品は、五感を使って魅力を感じていただくものです。そのため「お客様との接点づくり」となる対面のイベントは、マーケティング上とても重要な意味を持ちます。これまでは会場探しから実施に至るまで、イベント開催には大きな労力とコストを要していました。それが WeWork の拠点で実施すれば、実質会場費がゼロになります。

長浜谷:WeWorkではこれまで、ほぼ月に1回のペースで10拠点、計10回のイベントを開催しました。これからもさまざまな拠点で開催していく予定です。

この頻度でイベントを開催できるのは、各拠点の WeWorkコミュニティチームのサポートがあるからに他なりません。サポートは日時の設定や集客にとどまらず、例えば「ポスターの文字を減らしてイラストなどを入れた方がインパクトがあるのでは」「日本酒マニア向けのイベントと思われないように、もっと初心者でも参加しやすい雰囲気を出した方がいいのでは」など、運営に関するアドバイスもしてくれることがあります。そうした改善で実際に参加者が増えるなど、成果もあがっています。

最初のうちは弊社が入っている WeWork メトロポリタンプラザビルのコミュニティチームの力を借りて他の拠点に声をかけていただいたりしていたのですが、回を重ねるうちに他拠点のコミュニティチームにも認知が広まって、「今度はうちの拠点で実施しませんか」とオファーをいただけるまでになりました

「久保田」のマーケティングイベントに関して熱く語る渡邉氏

「久保田」のマーケティングイベントに関して熱く語る渡邉氏

――具体的には、どのようなイベントなのでしょうか。

渡邉: WeWork で開催しているイベントは、「久保田」のラインアップの中から気軽に楽しめる6種類をチョイスし、テイスティングを通して日本酒の好みの味わいを見つけてもらうものです。

日本酒というお酒は、精米歩合や材料、製造方法によって、純米大吟醸、純米吟醸、純米酒、特別純米酒、大吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒、特別本醸造酒などの分類があり、それが日本酒の魅力をより奥深いものにしていることは確かですが、初心者にとっては難解であり、とっつきにくいと感じさせてしまうこともあります。

そこでイベントでの「久保田」のテイスティングを通して、個々のお酒の味わいとラベルの情報をひもづけるお手伝いをしています。味わいとラベルの情報がひもづけば、お店で選ぶのが楽しくなりますし、日本酒を身近に感じられるようになるでしょう。さらに、イベントでの体験が色あせないうちに日本酒あるいは「久保田」の体験を重ねていただけるよう、イベントを行った WeWork 周辺の「久保田が飲める店」をご紹介するといった工夫もしています。

イベントを通じて私たちが大切にしているのは、単に弊社商品の認知拡大を目指すだけでなく、日本酒自体の魅力を広く知っていただくことです。その結果、より多くの方が日常的に日本酒を楽しむようになったらいいなと、思っています。

WeWork メトロポリタンプラザビルにて行われた「久保田」のテイスティングイベント会場

WeWork メトロポリタンプラザビルにて行われた「久保田」のテイスティングイベント会場

参加者の方に「久保田」をサーブする長浜谷氏

参加者の方に「久保田」をサーブする長浜谷氏

――今後イベントを行う拠点は決まっているのでしょうか。

渡邉:池袋だけでなく、仙台、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡など、国内の都市部には、 WeWork の拠点があります。そうした拠点でも実施していきたいですし、いつか海外の WeWork でも開催したいという思いもあります。

―― WeWork は多くの国に拠点がありますが、特にイメージしているのはどこですか。

渡邉:まずはアメリカ、中でもニューヨーク、もしくはロサンゼルスでイベントを開くことができたらと考えています。「久保田」という銘柄を知ってもらうことももちろん大切ですが、まずは日本酒というカテゴリーに興味を持ってもらうことが先決です。一般に、日本酒は海外でも人気が高まっているように報じられていますが、それは大都市の日本食レストランでの提供が中心で、消費シーンや消費量はまだまだ限定的です。徐々に輸出量が伸びているのは確かですが、日本食レストランでたまに味わう「珍しいお酒」ではなく、海外でもスーパーマーケットなどで気軽に手に入るお酒になったらと思います。

マーケティング施策での成果と新たな領域への挑戦

――イベント参加者からはどんな声が聞かれましたか。

長浜谷:テイスティングでは「久保田」の商品パンフレットも配布していますが、「久保田は千寿と萬寿しか知らなかったが17種類もあることが分かったので、次は別のものも試してみたい」といった声はよく聞きますし、実際に「飲食店で味わってみた」とおっしゃっていただいたこともあり、手応えを感じます。

渡邉:日本酒に興味を持つ上で、実際にお酒づくりをしている人と話すのは、とても大きな体験ですし、ファンになる大切なきっかけの1つです。イベントで蔵人とコミュニケーションをとれる機会をつくると、「実際につくっている人の話を聞いて日本酒のファンになった」という声も多く聞きます。今後は WeWork でのイベントなどを入り口に蔵の見学など、より理解が深まる体験もご紹介していきたいですね。

私たちのビジネスはマスマーケティングで消費を増やして成長していくよりも、口コミでファンを増やしてブランドを育てていくことがとても大切だと考えています。だからこそ、いま目の前にいる人と体験を共有していくことがとても重要です。私たちのようなBtoC商材を持っている企業は、私たちのような WeWork の活用法が活かせるのではないかと思います。

――今後ますます WeWork を活用してビジネスを成長させていかれると思いますが、どのようなことを構想していますか。

渡邉:8月に「KUBOTA GIN」というクラフトジンを発表しました。日本酒の酒造メーカーがつくるジンです。これを、まずはクラウドファンディングのプラットフォームで認知を広めていきます。先ほど「東京のクリエーターにお力添えいただく機会が多くなる」という話をしましたが、実はこのプロジェクトが大きく関係しています。マーケターやアートディレクター、デザイナー、コピーライターなどといった外部のスペシャリストとのコミュニケーションが多くなりますが、その拠点としても WeWork を大いに活用しています。

1年間続けてきた WeWorkでのイベントについては、この1年でよりスムーズな運営の知見もたまってきましたので、今後も各拠点のコミュニティチームのサポートを得ながら継続実施していく予定です。また、弊社の日本酒づくりのキーパーソンとみなさんの接点をつくるなど、コンテンツに磨きをかけていきたいと考えています。

―― WeWork には事業開発に関わる方もいらっしゃるとお話しされていましたが、今後まったく新しいビジネスが立ち上がる期待感もあるのでしょうか。

渡邉:可能性は大いにあると考えています。その鍵を握るのは、コミュニティチームの存在だと思います。この WeWork メトロポリタンプラザビルだけを見ても、コミュニティチームはメンバー同士の交流や認知を深めるさまざまな仕かけを用意していて、実際にそれが機能しています。互いになんとなくきっかけがないまま、どんなビジネスをしているのかも知らずに過ごすのはもったいないことです。コミュニティチームが用意してくれたチャンスを、これからも活用していきたいと思います。

WeWork主催の「メトポリ夏祭り2023」では、同社の日本酒を参会者に振る舞って魅力を発信

WeWork 主催の入居企業向けのイベントでも、同社の日本酒「久保田」を振る舞って魅力を発信

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