公開日:2022.08.31|更新日:2023.04.05

日立製作所が選んだ、オフィスでも自宅でも客先でもない「協創」の場としての WeWork

自分たちの職場を、自分たちで創りあげる

外とつながりたいという思いが原動力

オフィスでも自宅でも客先でもない場所

柔軟性が最大のメリット

WeWork だからできた新しいつながり

コミュニケーション活性化の場として

アフターコロナの自らとビジネス、それぞれの目線での「協創」拠点として

多様なパートナーとの「協創」を軸に、ITとOT、そしてプロダクトをつなぐことでさまざまな課題を解決する「社会イノベーション」推進を掲げ、持続可能な社会の実現のために新たな挑戦を続ける株式会社 日立製作所。2019年から WeWork をご利用いただいているアプリケーションサービス事業部Lumadaソリューション推進本部LSH事業推進センタ センタ長の斎藤 岳氏に WeWork を検討するに至った動機や利用を決定するに至ったポイント、そして今後の活用法について伺いました。また同チームの若手メンバーである佐保田 誠さん、渡邉 颯太さん、佐山 史織さんにも、それぞれの WeWork 活用法について話していただきました。

課題

  • 自社にない技術や知識などを取り入れるため、外部の企業やビジネスオーナーとつながりたかった
  • かつては客先に多く出る組織であったため、客先とオフィスと自宅が物理的に離れていると不便かつ非効率だった。交通の便が良く、客先とオフィスと自宅の中間地点となる拠点が必要だった
  • お客様の都合や社員の働き方の変化にあわせて、柔軟に移転できる拠点がほしかった

効果

  • イベントやコミュニティチームを通じて新しい協創者と出会えた
  • オフィスと客先の中間地点で仕事ができるようになり、業務効率化がはかれた
  • フレキシブルな契約体系で、お客様の都合や社員の働き方にあわせて柔軟な移転が可能になった
  • チームで利用することで社員同士および上長との距離が近くなり、ちょっとした雑談で結びつきを強め、お互いの業務内容やプロジェクトの方向性についても理解を深める場を得ることができた

自分たちの職場を、自分たちで創りあげる

── 担当事業について教えてください。

ITとOTをつなぎ、その中にAIをはじめとしたさまざまなデジタル技術を活用するLumada事業に携わっています。私が所属している事業部全体では1,200名ほど、本部では150名程度おり、私が管轄しているのは Lumada Solution Hub (以下LSH)という業種や企業の垣根を越えて、日立がパートナーとともに培ってきた実績のあるソリューションやノウハウを提供するハブとして横展開していく仕組みの企画と開発、お客様への提供を担当する約30名のチームです。

Lumadaとは

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Lumada Solution Hubとは

3分でわかる WeWork

3分でわかる WeWork

WeWork を知らない人はまずこちらを

── WeWork を知ったきっかけは何ですか?

Lumada事業に携わる前は実際のお客様アカウント系の業務を担い、自動車などの産業系や流通系、その前は金融のお客様を担当していました。WeWork に興味を持ったのは、今から5年くらい前ですが、オフィス自体に対する考え方を考えるきっかけになったのは、さらにそれから数年前に遡ります。弊社は自社としても多くのオフィスと開発拠点を持つトラディショナルな企業であるものの、「私たちが今後サービス指向やお客様価値ベースでビジネスを考えていく場合には、もはや会社やお客様から与えられた世界ありきで物事を考えることが当たり前ではない世界を考えていかなければならない時期に来ているのではないか?」そしてそれは働く職場についても然りという話を、当時の米国市場やグローバル事業を見てきた上長陣からされ、私たち自身が働くオフィスについても考えることになったのがきっかけでした。

グローバルという視点に立ち、特に米国のシリコンバレーにある、当時弊社に関係があった開発拠点関連の話を聞くと、「オフィス」というものの考え方がまったく異なることに気づきました。従来の日本企業の「オフィス」の延長線にある職場の中での「場」と、私たち自身が最大限の成果を出していくために必要なプロジェクト開発を進めていく「場」は、まったく違うのではないか? これからは自分たちの職場を、自分たちで作りあげなければならないのではないか? という問いをスタートに、自社における職場創り活動の取り組みの後、当時一緒にその職場創りにご協力をいただいていた企業さんからのご紹介もあり、探しあてたのが WeWork でした。

外とつながりたいという思いが原動力

── WeWork をご検討いただいた理由は?

「今までつながったことがない方々とつながりたい」という思いが強かったです。弊社がこれまでお付きあいしたことがなかったスタートアップ系企業の方々や、まったく違うジャンルでビジネスをされている方々とつながるには、やはり会社の外にもっと出なければならないと考えていました。

当時は新型コロナウイルス感染症が世界中で広がる前だったので、WeWork では多くのセミナーやイベントが開催されていました。いろいろな方々とつながれるそのような場が、すごくいいなと思いました。コミュニティチームの方に相談すれば、「○○を手がける企業が新しく入居されたので、一度お話ししてみませんか?」とつないでもらえることがわかりました。これが一番のメリットだと感じて、2019年に WeWork 丸の内北口を契約したのが始まりです。

当時、弊社がすでに契約していたコワーキングオフィスのようなサービスは他にもありましたが、WeWork のような雰囲気を持ち、つながりを構築する仕組みを持つサービスは見あたらなかったことが印象に残っています。

── WeWork を使いたいと伝えた際の、社内の反応はいかがでしたか?

まず、「すでに契約しているコワーキングオフィスサービスと WeWork のいったい何が違うのか?」と聞かれました。しかし、見てもらえればきっとわかってくれるだろうと考え、「ぜひ見にきてください!」と上長や事業部の人事担当者に伝えて、実際に足を運んでもらいました。コミュニティチームからのサポートも受けつつ、人事のメンバーや関係者、当時一緒にビジネスをやっていたメンバーに現地見学へ来てもらい、リアルな雰囲気を感じて「なるほど、まったく違うね」と理解してもらったのは大きかったです。そのおかげで、スタートする際には事業部で人事を担当する方々にも後ろ盾となってもらい、会社としてでなく一組織として WeWork との契約に至りました。社内でもこれまでほとんどないパターンでしたが、とにかく外とつながりたかったという思いが一番の原動力でしたね。

── WeWork 利用にあたって、セキュリティ面での懸念はありましたか?

社外で機密情報を扱うことに関する懸念への指摘や実際の懸念点について、事業部の人事担当とも相談をしながら進めていきました。私たちは「基本と正道の遵守」と「損得より善悪」を常に意識するという考え方を徹底しています。アフターコロナも含めた時勢においては、情報セキュリティに対する日頃からの高い意識と各種規則の遵守を意識しており、これは WeWork を活用する場合でも変わることがありません。

新しいサービスの利用に関して、セキュリティ面も含め社内でさまざまな議論がありましたが、結果として理解とサポートを得て突破できました。トップバッターとして前例を作れたので、同じようなニーズを持つ他の人たちも話を進めやすくなったのではないかと思います。

オフィスでも自宅でも客先でもない場所

── 斎藤さんご自身にとって WeWork 利用の決め手は?

最初の動機でもある、いろいろな人々とつながれるチャンスがあるところに加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まってから、弊社では「オフィス」(自社、客先を含む)と「在宅勤務」と「サテライトオフィス」「ロケーションフリー」を等しく見ようとしています。働き方をコロナの前のかたちには戻さないという考え方を持っています。その観点からも、「オフィス」でも「在宅勤務」でもない雰囲気があり、私たち自身の「サテライトオフィス」「ロケーションフリー」の目線に合わせて活用していくという視点もプラスして、通常業務の範囲では接点が少ない、まったく異なるジャンルの人たちが働いていて、自分自身も違うマインドとモチベーションで仕事ができる場所として WeWork を位置づけてもいます。

開始当時の背景を申しあげると、私が管轄していた組織が「オフィス(客先)」に出るビジネスを多く展開していたこともあって、「オフィス(客先)」と「オフィス(自社)」と「自宅」の距離が離れている場合、便利だとか効率的だとかは言いがたい状況でした。

なぜ最初に丸の内の拠点からスタートしたかというと、そのエリアが私たちのお客様とメンバーの自宅とのハブとして最も都合が良い場所であったというのが一番の理由です。「オフィス(客先)」から「オフィス(自社)」に戻ろうとすると結構な距離を移動せざるを得なかったため、「オフィス(客先)」「オフィス(自社)」の間に拠点がほしかったのです。丸の内は交通の便がとても良かったので、「自宅」に帰る前に寄って打ち合わせをしたり事務作業をしたりすることができました。また、お客様との協創の場としてとらえた際にも、「丸の内」というロケーションには大きなアドバンテージがあると考えていました。

現在では、新型コロナウイルス感染症の拡大を経て、アフターコロナにおける新しい働き方の推進を進めていますが、出社やフェイストゥフェイスの対応が必要なときもあります。現在、私たちの事業部は新川崎に主要拠点を構えており、私たちLSH部隊の多くのメンバーが神奈川県以西に住むこともあって、フェイストゥフェイスの機会が必要なときに「サテライトオフィス」「ロケーションフリー」を活用するという目線の際に東京都心まで来るのは時間もエネルギーもかかってしまいます。むしろ横浜くらいであればちょうど良いと考えるのは自然でしょう。

また、在宅勤務を進めておられるお客様も多いことや私たち自身の働き方をアップデートしていくこともふまえ、お客様に近いという目線から主要拠点として利用している南青山の拠点(WeWork ジ アーガイル アオヤマ)から横浜の拠点(WeWork オーシャンゲートみなとみらい)に移転しようかということも話しあっています。

新型コロナウイルス感染症の拡大を経験し、「オフィス」に行かなくても「自宅」に近いところで仕事ができないだろうか? と考える人も増えています。働き方が大きく変わったことで、ひとりひとりの「働く場所」に対するマインドも大きく変わってきていると感じます。

柔軟性が最大のメリット

── 会社にとって決め手となった WeWork のメリットは?

時期やお客様の都合にあわせて柔軟に拠点を変更できるところです。実際、私たちは、メインとなる拠点を移転しながら、オールアクセスプランを使っています。私自身もやってみてわかったことですが、このスタイルが私たちに一番あっていると思います。私たちの意思やプロジェクトの都合でメインの拠点を考えることができ、必要に応じて他のメイン拠点に移動できる柔軟性、そして働く場所を自分で決める際に選択肢が多いことは、メンバーにとっても最も良いことだと考えています。

── お使いになってみて、いかがですか?

いろいろな場所で仕事ができるという柔軟性により、生産性とモチベーションへの寄与が大きいと感じています。客先に足を運ぶことが多かった社員も、WeWork は客先と比べて雰囲気が変わるし、マインドセットを変えて仕事ができると話していました。これまで自社オフィスと客先にしか行っていませんでしたが、目に入る景色がまったく違う場所や雰囲気の中で仕事をすることにより、自分たちの仕事に対して違うスイッチを入れられる良い刺激になっていると感じています。場所が生産性やモチベーションに与える影響は大きいですね。また、オールアクセスプランを利用することで無駄な移動時間を短縮できるという意味でも有効だと感じています。

WeWork だからできた新しいつながり

技術をベースとして新しいつながりを築きたいと考え、コミュニティチームのサポートを得てゲーム会社の方々とつながりました。ある流通系のお客様のDX案件で、スマートフォンを端末にし専用アプリケーションを開発する必要に迫られたのですが、そのスマートフォンのアプリケーション目線で最先端の技術を持っている分野のひとつがゲーム業界です。残念なことに新型コロナウイルス感染症の拡大で案件自体が止まってしまったのですが、今までの私たちのビジネス上のお付き合いの中にゲーム会社の方はいなかったため、既存のお客様や自社のみのルートで動いていたら決して出会うことのない方々だったと思うと、WeWork ならではの出会いでした。

私たちが主戦場としているIT/OTとゲームはまったく異なる目線であるものの、技術的な面ではつながって一緒にできるということをやってみたかったのです、そのようなチャレンジが可能になるのが WeWorkという場所だとも考えています。

── 今後、WeWork をどう活用したいですか?

私たちLumada Solution Hubのビジネス観点で、お客様との「協創」をやっていきたいです。

たとえば集中してアジャイルな進めかたが要求されるプロジェクトでは、そのプロジェクトが活動する「場所」が必要です。作業をするスペースだけでなく、ホワイトボードがある部屋、カフェスペース、会議室など会話するスペースも欠かせません。デイリースクラム後に解散して、各自開発が終わったらラップアップのために再度集合するという流れは、WeWork のようにさまざまなサイズの会議室、ラウンジ、ホワイトボードが設置された部屋などが一か所にまとまっている場所だとやりやすいと考えています。

実際、自社やお客様先だとワンフロアを貸し切るとか、さまざまなタイプのスペースを用意するということはなかなか難しいですし、他社の方が長時間、社内で過ごしているのもお互い違和感があるかもしれません。組織同士のパワーバランスを避けるためにも、オンライン、オフラインのバランスをとりつつ協創」というモデルを WeWork という中間かつフェアな場に集まってやってみたいですね。現在、あるお客様に対し、具体的にこの観点を提案に盛り込んでチャレンジしようとしています。

同じように、Lumada Solution Hubのビジネスで必要とされるさまざまなテクニカルなトレーニングも、WeWork のような場所でできたら実践的な雰囲気がまた違ったかたちで味わえて良いと考えています。

また、WeWork でかつてのようなイベントが開催できるようになれば、LSH関連のイベントをオフラインでやってみたいとも考えています。リードを伸ばすためというよりも、協創相手とつながれる可能性がある場として、オンラインでなく、同じ場所に一緒にいることで可能になる雑談などから新しい可能性が生まれるのではないかと感じます。

コミュニケーション活性化の場として

斎藤さんが管轄するチームの若手メンバー3名にも、WeWork の感想を伺いました。

── WeWork を使ってみて、いかがですか?

佐保田 誠さん(LSH開発プロジェクトに従事。主にグローバルスケールを担当)

私は、新型コロナ感染症拡大前の働き方も知っています。弊社は大きく、多種多様なお客様、プロジェクトを同時に動かしているため、隣の席の人の作業内容についてまったくわからなかったり知らなかったりすることが多く、特にコロナ禍に入ってからは打ち合わせで一緒にならないかぎり話す機会もありません。一方、WeWork はコミュニケーション活性化の場として活用しています。隣の人の状況を肌で感じながら仕事ができ、雑談ができます。社内とはまったく違う雰囲気なので、モチベーションも上がります。

渡邉 颯太さん(LSH開発プロジェクトに従事。主にテクニカルリードおよび導入を担当)

自宅とオフィス、そして WeWork の三か所で仕事をしています。オフィスにはいろいろな人が出入りしていることもあり、周りの人とどこまでカジュアルに話してよいのか戸惑ってしまうところがあります。WeWork はプロジェクトルームのようなスペースなので、業務に関する話や雑談、そしてプロジェクトの将来像や自分の思いをオフラインで話せます。リラックスしながらコミュニケーションを取れる場として活用しています。

佐山 史織さん(LSH開発プロジェクトに従事。主にテクニカルリードおよび導入を担当)

WeWork は同僚とだけでなく、上長とも話しやすい場だと思います。同じ場を共有して話をすることで、今進めているプロジェクトの方向性を聞いて理解を深める場になっています。自分が手がけている仕事では、さまざまなベンダーのPaaSを活用しています。今後は、WeWork に入居している多種多様な企業やビジネスオーナーの皆さんとの交流を通して、どのような開発スタイルが今のトレンドなのかといった、社内ではできないインプットをやっていきたいと考えています。

向かって右から佐山さん、渡邉さん、佐保田さん、斎藤さん

アフターコロナの自らとビジネス、それぞれの目線での「協創」拠点として

── アフターコロナの働き方はどうなるとお考えですか?

私たちはアフターコロナの働き方において「Choice」「Chat」「Connect」という三つのコンセプトを掲げています。先に申しあげたように、「オフィス(自社、客先)」「在宅勤務」「サテライトオフィス」「ロケーションフリー」を等しく見ていこうとする動きの中で、私たちのメンバーには、アフターコロナに新しい働き方へアップデートしていってもらわないといけないと考えています。ワークライフバランス、ダイバーシティ、安全・安心の目線、ジョブ型への移行など、さまざまな目線を意識しつつ効率的に働く場所を自らが選んでいくことが社員に求められます。私たちが WeWork を契約して活用するということは、チームメンバーに対して、新しい働き方へアップデートする過程で、自分自身で考えるきっかけやチャレンジする機会を与えたいという意味も含まれています。与えられることをベースに考えるよりも自ら選択するほう、つまり「Choice」ですが、やはり難易度は上がりますからね。若い世代の成長のためにも、このような機会を維持していきたいと考えています。

また、私たちが所属している本部全体で150名の社員がいるので、この150名に WeWork を一度体験してもらうトライアルを行いたいと考えています。一日でも数日でも過ごしてもらって WeWork の雰囲気や見える景色を体感して、自らの働き方に対する考え方や私たち自身のビジネスを考えるにあたっての一助にしてもらいたいですね。

以前は出社することが当然で、出社するかしないかを考える必要がなかったのですが、今はまったく違います。でも、もともと自分がやりたかったこと、考え、望んでいた状況に近づいてきているのかなと感じています。

* 本記事は2022年8月に実施したインタビューを元に作成しています。

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