更新日:2023.04.05

創業1925年の老舗製造業Mipoxが WeWork へ本社移転。オープンなカルチャーとアセットライト経営で開く次の100年

1925年創業の老舗メーカーが WeWork に本社移転

オープンなカルチャーを醸成するオフィスへ

WeWork 活用で「アセット」を「コスト」に変える

WeWork コミュニティで「オープンマインド」を育む

Mipox株式会社は2020年11月、それまで賃貸オフィスに置いていた本社を WeWork Dタワー 西新宿に移転しました。移転後は専用オフィスとAll Access(オールアクセス)プランを利用しています。直接のきっかけはコロナ禍に端を発したリモートワークの進展ですが、背景には、同社代表取締役社長である渡邉淳氏の、製造業に根付く形式的なビジネス上の慣習やルールを取り払い、オープンなカルチャーを醸成したいという思い、そして、経営にかかるアセットを軽くし、戦略的に新規商品や事業開発、生産設備など事業成長につながる投資に振り向けたいという思いがありました。

1925年創業の老舗メーカーが WeWork に本社移転

── Mipox株式会社の事業内容をご紹介ください。

当社の創業は1925年で、2020年に95周年を迎えました。もとは顔料・色箔を輸入販売する商社として設立。その後、箔の塗布技術を応用した研磨フィルムの製造に成功し、60年代半ばからは研磨材メーカーとして、さらに80年代からは精密研磨材・研磨装置を取り扱う総合研磨材メーカーとしての地位を確立しました。さらにはグローバル化、超精密研磨領域へ進出、2004年からはさらなる事業分野拡大、IT化も推進しています。

製造拠点となる工場は山梨・京都・福山に構え、営業拠点となるオフィスは全国にあります(東京・仙台・浜松・名古屋・大阪・高松・広島・福岡)。このほか、複数の海外拠点を展開しています。

*撮影時のみマスクを外しています。

3分でわかる WeWork

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── 2020年11月、それまで東京都新宿区の賃貸ビルにあった本社を、同じ新宿エリアの WeWork Dタワー西新宿に移転されました。以前のオフィスビルを退去するに至った背景は?

大きなきっかけはコロナ禍です。当社はデジタル技術を積極的に導入した働き方改革・業務改革をかねてから進めており、すでにテレワーク対応のための設備・環境整備が進んでいました。そのため一度目の緊急事態宣言(2020年4月)が発令される数日前から、当時の東京本社を原則「出社禁止」にしました。

当時はまだ郵便物やFAXが本社に届いていたため、私を含めた取締役が交代で出社していました。そのときのオフィスには、スタッフはおらずがらんとしており、おのずと「本当に本社として物理的なオフィスが必要なのか」と感じるようになりました。まだ賃貸借契約は残っていましたが、翌5月には出ることを決めていました。

オープンなカルチャーを醸成するオフィスへ

私が社員に対してオープンなマインドセットを持つことを求めていたことが挙げられます。その目的は、社内外のさまざまな人とのコミュニケーションを活性化させ、そこから新たな考え方や視点を取り入れて、それを新商品や新規事業につなげてもらうことです。

本社には、その企業のカルチャーを醸成する役割(機能)があります。かねてより、オフィスや工場の物理的な壁をできるだけ取り払うなど、「ワンオフィス化」を進めていましたが、移転先にも当然、「オープンネス」という特長を求めていました。

そこで注目していたのが、 WeWork です。ビジネスニュースで取り上げられた記事を読んだり、海外のお客様の紹介で現地の WeWork を見学したりして、物理的な壁だけでなく、心理的な壁をも取り払ったまさにオープンネスな空間が広がっていて、「ここしかない」と思っていました。

私は総務部メンバーに WeWork のことを伝え、見学に行ってもらいました。見学に行ったメンバーも「オープンなマインドセットを醸成できそうだ」と肌で感じて帰ってきました。そこから本格的な検討を進めたところ、 WeWork が提供している空間とサービスのクオリティとコストのバランスは、ほかのフレキシブルオフィスと比較にならないほど優れていると感じ、オープンを控えていた WeWork Dタワー西新宿への移転を決めました。

WeWork 活用で「アセット」を「コスト」に変える

── 以前から積極的に製造業の改革に取り組まれていますが、今回の“製造業の本社がフレキシブルオフィスに移転すること”は相当に大きなインパクトがあります。原点はどこにあるのでしょうか。

私は1994年に新卒で入社しました。父親から代表取締役社長を引き継いだのは、2008年6月のことです。当時は赤字が拡大し、倒産寸前といってもよい状態でした。そのつらい時期を通じて思ったのは、繁忙期に合わせてその都度人員拡大するより、会社の仕組みを変革し、IT化や自動化・省力化を進めるのが先決ではないか、ということです。その後の一連の改革は、これが原点になっています。また私は、代表に就任して2年目に、それまで会社が大事にしてきた東京都昭島市の本社を、更地にして開発会社に売却しました。アセットが重いと変化に柔軟に対応できないと感じたからです。それが、私が取り組む“アセットライト経営” (資産の保有を抑えた経営手法)の考え方です。今回の WeWork への本社移転は、それらの延長線上にある正常進化です。

── モノづくり企業(製造業)が WeWork を活用するメリットは?
当社は全国の WeWork を利用できる All Access のプランを利用しています。もとより日本全国に拠点があるため、特に営業メンバーが積極的に各地の WeWork を活用することをイメージしています。

モノづくり企業が WeWork を活用するメリットを考える際、やはりアセットライト経営がヒントになると思います。当社も山梨・京都・福山に自社工場を持っています。もちろんメーカーとして、それらは製造・生産のために不可欠なアセットです。しかし、本社というアセットは要りません。以前本社があったオフィスビルは賃貸なので、一見アセットではないように思われがちですが、賃貸でもそこに造作をすればアセットになります。

しかし、財務的に見た場合、 WeWork はアセットではなくコストです。コストで回していけば会社経営は身軽になり、アセットを持たざるを得ない製造業にとって大きなメリットが生まれ、変化にも対応しやすくなります。当社も、 WeWork の活用により、アセットの一部をコストに変えることができました。これによって、より戦略的に新商品・新規事業開発や生産設備の強化など、事業成長に向けた投資を進めていくことができます。

WeWork コミュニティで「オープンマインド」を育む

── WeWork Dタワー西新宿の本社では、共用エリアと自社専用のオフィスを利用して活動されています。移転後、社員のマインドに変化はありましたか。

目に見える変化に、服装の変化があります。全体にとてもラフになりました。従来はスーツに固定化していましたが、今はスニーカーやサンダルで出社している社員もいます。自分が“フルスイングできる”スタイルでよいと思いますし、そうして気持ちが楽になれば、今まで出せていなかった自分が出せるかもしれない。オープンなマインドセットが、服装にも表れはじめているのだと思っています。

── その良い兆候には、 WeWork の空間も関係しているのでしょうか?

大きいと思います。移転前から業務委託の社員と正社員は同じ環境下で働いていましたが、両者の間には見えない壁があり、ラフに話ができる雰囲気ではありませんでした。しかし WeWork の共用エリアでは、当社以外の会社の方が彼らの目の前で普通に働いています。それが毎日続いていたら、おのずと社員以外の人と同じ空間で働くことに慣れてきます。その結果、両者の距離が近付いているのを感じています。さらにその先の変化として、社員には「あの人面白そうだな」と感じたら、気軽に異業種の方に声を掛けられるようになってもらいたいと考えています。

クライアントとの関係にも変化があります。 WeWork の空間には上座も下座もなく、旧来からのルールが機能しません。もちろん社員のお茶くみも不要です。クライアントには、自分で飲み物を取りに行っていただいています。以前はあり得なかったこうした環境が、自然と対等な関係で接する雰囲気をつくっています。かつて、欧米で体験したビジネスパートナーとの関係に近いものを感じます。従来のオフィスでは不可能なことでした。ただ、 WeWork への移転によって一足飛びにこのような状態になったわけではありません。

──具体的にはどのような対策を採ったのでしょうか。

服装や容姿の自由を言葉で促しても、ほかの経営陣は「どのくらい本気なのか?」と疑問に思い、社員には「本当に自由な服装で大丈夫なのか?」という不安があります。そこでまず自分から、と服装をラフにし、髪も金髪にしました。

*撮影時のみマスクを外しています。

── ほかにも形式的なビジネス上の慣習やルールを取り払う試みがあると伺っています。

例えば「お疲れさまです」という日常的に交わされている言葉です。しかし、形式的な言葉なら要りません。そのため、それを助長するメールによるやり取りを5〜6年前に禁止しました。また、社員同士はニックネームで呼び合うようにしています。私はショーンです。誰からもそう呼ばれています。現在は、社内コミュニケーションはSalesforceやMicrosoft Teamsのチャットに移行しました。従来のメールの慣習では、1通送るにも宛先を決め、CCに誰を入れるか考え、件名を考える必要がありました。そして本文は「お疲れさまです」に始まり「よろしくお願いします」で終わるなど、無駄な形式が伴います。

決して悪いことではありませんが、製造業には堅実さを重んじるカルチャーがあります。当社の社員もお客様の前に出ると、徐々に堅さが出てしまいます。目に見える慣習やルールから変えていくことで、形式にとらわれない組織へと変えていきたいと考えています。その環境として、 WeWork のようなオープンネスな環境は最適です。

── ニューノーマル時代には、多様な働き方への対応も求められています。

例えば社員がある日「石垣島に住みたい」といい出したら、会社として対応できるようにしておかなければいけないと思っています。セルフマネジメントができ、自分はどんなパフォーマンスを会社に提供できるか、というプロフェッショナリズムを常に持ち続けてリモートワークに対応してくれるのなら、当社としても社員の居場所は問いません。全国津々浦々の WeWork に当社の社員がいる、そんな未来もいいなと思います。

── 最後に、今後の展望をお聞かせください。

経済は「モノからコト」へシフトしています。私たちもそれを強く意識しており、メーカーとして「モノをつくって売る」だけのビジネスから、「価値を提供する」ビジネスへと変革を進めています。例えば、当社は半導体製造における研磨装置・研磨材を製造・販売してきましたが、私たちがクライアントのウエーハ(半導体の材料)などを預かり、当社の持つ独自の設備で研磨して返す「受託研磨サービス」を開始しています。

ほかにも福山工場の社員のアイデアにより、公園の遊具を研磨する活動も行っています。現在はボランティアですが、今後、ビジネスへと発展していく可能性もあります。まさに今、社員のマインドが変わりつつあります。これから WeWork コミュニティをさらに積極的に活用して、変化が加速していくことを期待しています。

WeWork は、国内7都市38拠点*で、すべての人がいきいき働く環境と、効率的なオフィス運用をかなえるフレキシブルオフィスを運営しています。

契約プランやオフィスサイズの柔軟性に加え、アクセス性に優れた立地、想像力をかき立てコラボレーションを加速するビジネス環境が WeWork の特徴です。

コワーキングスペースやサテライトオフィスとしてのご利用はもちろん、1名から数百名までの規模で、個室の専用オフィスを月単位でご契約いただくことも可能です。ご入居後もビジネスや出社率の状況に合わせて、専用オフィスの拡張・縮小を最短翌月から可能なため、その時々の稼働率に見合った最適なオフィス運用が実現できます。プランについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。

本社移転、または今後のオフィス運用についてご検討中の方は、是非 WeWork へお問い合わせください!

* 2021年10月時点

・本記事は2021年8月に実施したインタビューを元に作成しています。

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