資産管理をサポートするファイナンストレーニングを展開
「WeWork でダメだったら、そもそも通用しない」と直感的に感じた
売上が500%増加! 新規採用の応募者数も100倍に
WeWork コミュニティチームが醸成する“One Team”
今回お話を伺ったのは、2019年12月16日に社名を変更したばかりの株式会社ABCash Technologies(旧bookee)代表取締役社長 CEOの児玉隆洋さんです。
同社が展開する事業は、貯金・保険・住宅・資産運用などのお金に関する悩みについて、ユーザーごとに最適なトレーニングメニューを提供する金融教育サービス。
昨年7月には、総額約3億7000万円の資金調達を実施するとともに、フィンテック事業への参入など、著しい成長を見せています。現在、渋谷スクランブルスクエアを含め、新宿、明治神宮、丸の内、銀座、池袋と WeWork(ウィーワーク) 内に6つのスタジオを開設しています。「 WeWork でなければ急成長は成し得なかった」とまで語る理由や活用方法、入居後の効果などについて伺いました。
資産管理をサポートするファイナンストレーニングを展開
———御社の事業内容について教えてください
児玉氏(以下、敬称略):当社は「お金の不安に終止符を打つ」というミッションを掲げる「金融教育×テクノロジー」のフィンテックスタートアップです。2018年2月2日に株式会社bookeeとして設立(2019年12月にABCash Technologiesへ社名変更)。お金の健康状態をデータ分析できるオリジナルアプリ「ABCashアプリ」を介して、専属のパーソナルコンサルタントがオンラインでユーザーの資産管理をサポートするファイナンストレーニングを展開しています。

株式会社ABCash Technologies 代表取締役社長 CEO 児玉 隆洋さん
———西新宿に本社を置きながら、6つの WeWork に「ファイナンストレーニングスタジオ(ABCash)」を開設しています。こうしたスタジオ・店舗としての WeWork 利用は珍しいケースですが、どのような狙いだったのでしょうか
児玉:スタジオを置くことによって、当社サービスを体現するような「リアル」な場所が都内に6カ所もある「安心感」をユーザーに提供したいという思いがあります。地方や海外のユーザーをはじめ、完全にオンラインだけで当社のトレーニングに参加している方もいます。オンラインがメインのサービスですが、リアルなスタジオがある信頼感は、オンラインサービスを提供する上で、大きな意味があります。
———今年12月に WeWork 渋谷スクランブルスクエアにも展開されていますが、その理由は?
児玉:私たちは「世界に通用する会社を創る」というビジョンを掲げており、そのファーストステップとして、まずは日本国内で国民的なサービスをつくりたいと考えています。つまり、情報発信地に拠点を構え、そこからプロダクトやサービスを発信していくべきだと考えています。私は、サイバーエージェントの出身で、渋谷を拠点として、AmebaブログやAbemaTVが成長するのを見てきました。その体験からも、渋谷は最適な場所だと考えています。
「WeWork でダメだったら、そもそも通用しない」と直感的に感じた
———最初に入居されたのは、2018年8月1日にオープンした WeWork アイスバーグ ですが、入居のいきさつを教えてください
児玉:当社は事業戦略の中心に人材投資戦略を掲げています。人材投資、すなわち人を一番大切にしていく会社でありたいと考えています。スタートアップは、ゼロからイチを生み出すタフな仕事です。そのミッションに挑むわけですから、スタッフには士気高く業務に取り組める環境を用意することが重要だと考えました。その点 WeWork には、社員が自分らしく働き、モチベーションを高めてくれるような空間がありました。率直に、それが入居を決断した一番の決め手です。
———入居はいつ頃から検討していたのでしょうか
児玉:物件を探していたのは2018年7月下旬です。代官山や恵比寿をあたっていて、ある物件に決まりかけていたのですが、知り合いから「 WeWork がいいんじゃない?」と提案され、その日のうちに新橋の WeWork を見学しました。直感的に「ここ以外にない!」と思い、翌日には契約していましたね(笑)。
———即断即決ですね。どんな点が児玉さんの心を動かしたのでしょうか
児玉:当社のビジネスモデルは、もともとニューヨークで広まっていたファイナンストレーニングを、金融教育の遅れている日本で展開するものです。すでにビジネスモデルとして確立されているのであれば、あとは日本向けに最適化し、市場を拡大していくのみです。
もしも WeWork のような、新しい働き方を提唱している場所で失敗するのであれば、時期が早いのか、ビジネスモデル自体に問題がある、そう考えて入居に踏み切りました。
売上が500%増加! 新規採用の応募者数も100倍に
———入居後にはどのような変化がありましたか?
児玉:もっとも大きな変化は、売り上げが500%以上増加したことです。ガラス張りのオフィスや共有スペースなど、周りの人たちに見られる環境に身を置くことで、スタッフが仕事に取り組む意識が高まったと思います。それによってスタッフの生産性が大幅に向上し、売り上げを押し上げたと感じています。
WeWork への入居で事業成長スピードが加速し、最初の入居から10カ月後には約3億7000万円の資金調達も実現できました。優秀なスタッフが WeWork で士気高くパワフルに働いている姿を投資家に見てもらったことが大きかったと思います。
———採用の面ではいかがでしょうか
児玉:採用ブランディングにおける WeWork 効果は絶大です。採用ページで WeWork ならではの開放的でクリエイティブなワークスペースを訴求することで、弊社がいかに働く環境を重視しているのかを伝えています。
おかげさまで、採用応募者数は入居前と比較して100倍近くにもなりました。弊社のようなベンチャーではなかなか採用できないような優秀な方にもたくさん応募いただいて、入居時は4名ほどだった人員も、現在(2020年1月)は30名ほどに拡大しています。

Wantedly上の自社採用ページでは、WeWork の写真を活用することでクリエイティブでオープンな職場環境を訴求
———新規採用者の属性に特徴はあるのでしょうか
児玉:自分の力で社会に新しい価値を生み出したい、自分の人生は自分で切り開きたい。そんな“鼻息の荒い”Z世代の人材が多く、ベンチャースピリットにあふれています。離職率もほぼゼロで、こうした環境で働ける価値を感じてもらえている結果だと思います。 WeWork 入居後は本当にポジティブな変化ばかりで、入居していなければ、どうなっていただろうと思います。
WeWork コミュニティチームが醸成する“One Team”
———入居メンバーとのコラボレーションもあると聞いていますが、どのようなものなのでしょうか?
児玉:WeWork アイスバーグ では、以前入居されていた大日本印刷さんとのつながりが生まれ、それをきっかけに本社で金融教育のファイナンスセミナーを実施させていただきました。
また、コラボレーションではありませんが、昨年の夏にアイスバーグで「次世代金融カンファレンス」が開催され、そこに登壇した際、投資家の方とのご縁ができ、弊社の株主になっていただきました。
———WeWork というコミュニティの効果を感じるのはどんなときですか
児玉: WeWork がすごいと感じるのは、入居企業との日ごろのあいさつが「お世話になっています」ではなく、「お疲れさまです」だということです。もはや他社さんではなく、同じ会社の別部署といった距離感なので、ここにコミュニティの力を感じます。ランチなどを通じて、新しい事業のディスカッションを行うことも珍しくありません。
このカルチャーを生み出しているのが、コミュニティチームの存在なのです。彼らが“One Team”の一体感で入居者に接してくれるので、コミュニティとしてのまとまり感が醸成されていると思います。当社の会社設立1周年のときには、お祝いのケーキでサプライズパーティーをしてくれました。実は自分たちでも1周年だということをすっかり忘れていたくらいです。(笑)しかし、おかげさまでスタッフのモチベーションもさらに高まりました。
———最後に今後の展望について教えてください
児玉:スタジオは今後も WeWork で増やしていくつもりです。横浜、大阪、福岡、さらにはニューヨークやLAへも拡大を予定しています。今後は日本で確立したモデルを海外に展開するなど、グローバル市場も見据えていきたいです。
さらに2022年より、高校の新学習指導要領として家庭科で「資産形成」の指導が始まるなど、社会全体で金融教育のニーズが高まっています。その機を捉えて、私たちも学生向けの金融教育推進プロジェクト「ABCash for School」を本格的に始動しました。