WeWork は「リアル版ソーシャル・ネットワーク」のように
日本にはまだまだ働き方の可能性が眠っている
自社の価値に気付き、ビジネスを加速させる場所
共に拡げ、共にワクワクする
WeWork GINZA SIX にアマナが入居して約1年(2019年3月現在)。プロデューサーの鎌田学氏は働き方や働くことへの意識の変化を強く実感しているそうです。そんな「働くこと」をテーマに、鎌田氏と WeWork Japan ゼネラル・マネージャー (取材当時) の髙橋 正巳が対談を行いました。
WeWork は「リアル版ソーシャル・ネットワーク」のように
——— ずばり、WeWork というのはどのような場所ですか。
髙橋 正巳(WeWork/以下、敬称略):さまざまな表現ができますが、“リアル版ソーシャル・ネットワーキング”ではないでしょうか。
鎌田 学さん(アマナ/以下、敬称略):入居前に「Facebookの中を歩くような場所」とお聞きして、わかりやすい例えだと思いました。
髙橋:WeWork は多種多様な企業の方々が1カ所に集まりつながっていく場所。この場を通じてそれぞれの人たちがやりがいを見つけ、ビジネスが成長していく環境を提供しています。それが私たち WeWork の価値です。
▲WeWork Japan ゼネラル・マネージャー、髙橋 正巳
▲WeWork GINZA SIX の特徴は、共有エリアとプライベートオフィスエリアが1フロアに収まっていること
———内装にも非常にこだわりを感じます。
髙橋:空間のデザインはすべて内部のチームが行っており、日本にも専門のデザインチームがいます。グローバルな方向性と、日本特有の要素を取り入れながらデザインするというのが私たちのやり方ですね。たとえばここ WeWork GINZA SIX では初めて掘りごたつを取り入れ、大変好評です。
▲WeWork GINZA SIXの掘りごたつ席
鎌田:私が実際に感じたのは、コミュニケーションを喚起させる仕掛けがたくさん施されていることです。たとえば、廊下は人がすれ違うたびに自然と会釈ができるよう意図的に狭く作られていたり、プライベートオフィスもガラス張りでオープンなので、他社の方々の顔が見えます。パントリーで自然と会話が生まれることもあり、体験価値が非常に高いと感じています。
▲廊下は人がやっとすれ違える幅に設計されている
▲パントリーはコーヒーや紅茶が用意され、夕方以降はビールも飲み放題
髙橋:世界中にある約300弱の拠点で蓄積されたデータをもとに、シミュレーションを重ねながら空間設計をしています。なるべく360度どこからでも外が見え、自然光を感じられるようにしているので、創造性豊かに仕事に取り組める環境です。
▲プライベートオフィススペースもガラス張りで明るく、オープンな印象
——— そのような設備環境から、WeWorkがビジネスパーソンにもたらす変化はどういったものがありますか?
髙橋:今までの「異業種交流」は堅い印象がありました。決まった時間に集まり、ひたすら名刺交換をするというような機械的なものです。しかしオープンな場では、コミュニティスペースで行われたイベントで偶然隣に座り、「ビールでも1杯飲みますか」という会話からコミュニケーションが生まれます。
鎌田:FacebookやLinkedInなどのSNSでは、名前や肩書きだけでコミュニケーションがスタートしていきますが、ここでは最初から肩書など関係なく、楽しい会話から自然なコミュニケーションがスタートできます。髙橋さんがおっしゃる通り、今までにない場所ですね。
▲アマナ ゼネラルマネジャー、鎌田さん
———同じ空間を共有する意義がそこにありますよね。
髙橋:以前、私がシリコンバレーで仕事していた頃に印象的だった経験があります。あるバーに友人と飲みに行ったとき、偶然友人の知り合いと出会い、話をしたことがありました。後から「彼は某巨大ITジャイアントのマップ事業の責任者だよ」と聞かされ驚いたものです。自然に会話をしていたら、ビジネスの場ではなかなか会うことができない人だったことが新鮮な体験に思えたんです。そんな「人と人とがつながる」という感覚を再現できるのがWeWorkの環境です。
日本にはまだまだ働き方の可能性が眠っている
———日本に進出されたのは最近ですが、日本の働き方についてはどのようにお考えですか。
髙橋:世界のどこよりも WeWork の価値を発揮できるのが日本ではないかと考えています。日本には素晴らしいアイデアの可能性が眠っていると思いますが、それを解放する環境がないと感じていました。
とある調査で、世界139か国のワーカーたちのやる気を計った統計データがあります。「何%の人が自分の仕事に熱意を持っているか」という質問で、日本は「自分の仕事に熱意を持っている」と答えた人が100人中6人しかいなかった。
この数字は139か国中132位だそうです。驚きの結果ですが、それでもそのビジネスパーソンがこの経済大国を支えている事実を考えると、大きな可能性がありますよね。
特にこれからの日本を作っていく若い世代は、デジタルの恩恵を受けながら育ってきていて、オープンなコミュニティには親近感があると思います。日本の可能性はまだまだ高くなると思いませんか?
鎌田:日本人はシャイな国民性で他人への伝え方があまりうまくないと思うので、そこを補助するような演出ができればコミュニティを起点とした働き方に伸び代が生まれますよね。
アマナでは、CEOが社員に「自分の価値を増やしていきなさい、個人の価値がアマナの価値になる」と言っています。私はそれを聞いて、自己実現のためには企業の看板を全面に掲げるのではなく、自身のパーソナリティや力を研鑽することが大切だと考えました。
自分は何者で、何ができて、何をしていきたいか。そこに焦点を当てる考え方に変わっていくべきだなと。
髙橋:私も昔大きな会社に在籍していましたが、何にワクワクするか、考えるチャンスが少なかったと思うんです。隣の部署が何をしているか知るよしもないですし、別の部署の社員と話す機会も作りにくかった。
一方でオープンで刺激的な空間の中では、人とのコミュニケーションの中で自分が何にときめくかを再認識できる機会があるので、その中で自分の熱意を発揮できる環境へ踏み出せるのではないでしょうか。
自社の価値に気付き、ビジネスを加速させる場所
———アマナが入居して約1年、入居したことで変化はありましたか。
鎌田:私が入居して1か月ほど経った頃、コミュニティマネージャー( WeWork 内で入居者同士をつなぎ、コミュニティを活性化させるスタッフ)に「ロゴデザイナーを探しているメンバー(=入居者)がいる」と声をかけていただきました。しかし、クライアントにお話を聞いていると、ロゴデザインは表層的な手法の1つではあるものの、本質的な解決策ではないと感じたんです。その後、課題解決のためにコンテンツを生かしたデザインコンサルティングを提案し、任せていただけるようになりました。
アマナの強みの1つはもちろんビジュアルコンテンツ制作ですが、そのノウハウを活かしながら、現在(取材当時)は事業のデザインコンサルティングやブランディング領域まで、手がける範囲が広がっています。
WeWork に入居したことで、通常のビジネスの場では出会えない方々とフランクに話すことができ、その分企業が抱える課題の根幹を捉えるスピードも速くなりました。
髙橋:コミュニティマネージャーは交流のなかったメンバー同士の接点を見つけて人と人をつないでいきますが、最終的にメンバー同士のコミュニケーションやその後のビジネスは自然と発生していくもの。化学反応のきっかけを作っているというイメージです。
▲フレンドリーに迎えてくれる WeWork のコミュニティチーム
——— コミュニティマネージャーがつないでくれた人とは、自然とビジネスに発展していく環境なんですね。
鎌田:さまざまな業界・人が交わっているからこそ、アマナの強みを意識するきっかけになりますし、異業種コミュニケーションの中で、これまでの認識とは異なる自社の価値に気付かせられることもありました。
▲オフィスからスカイツリーを臨むことが可能
共に拡げ、共にワクワクする
———これからWeWorkが目指すコミュニティとはどんなものでしょうか。
髙橋:私がこれからが考えるコミュニティは、かならずしも1つの拠点で完結するものではありません。近い将来日本にWeWork の拠点が数10か所できれば、各拠点のコミュニティ同士もつながっていくことが理想です。
たとえば、たまたま出張で来ていた地域の拠点で行われているイベントに参加すると、また新しい刺激が生まれていく。そういった少しの変化ときっかけが重要だと思っています。
鎌田:メンバー同士や各拠点をつなげる企画が促進されていくと、コミュニティがより活性化していくと思います。さらにビジネスアワードなど、コミュニティから生まれたアイデアを賞賛する仕組みを作れば、コミュニティとメンバーが持つ価値をさらに高めることができるのはでないでしょうか。
——— WeWork のコミュニティは、これからまだまだ発展していく可能性を秘めているのですね。
髙橋:WeWork に入ればコミュニティからサービスを提供してもらえて、次から次へとマッチングできるということではありません。自分の価値を伝えて提供していくことで新しいインプットがあり、さらにアウトプットできていくと思うので、より自発的で有機的な環境を作っていきたいですね。
鎌田:自分たちのことを話すきっかけができるので、不意に思わぬ価値を提供できることがありますし、新しい組み合わせでアイデアが生まれる予感がしています。
髙橋:まずはビジネスに限らず「人がワクワクしながら人生を生きられる」状態にするということが、私たちの存在意義だと考えています。この WeWork という場所で新たなビジネスの展望が見えるかもしれないし、趣味の話で盛り上がり友情が芽生えるかもしれない。そんな人と人とが出会い、生まれる可能性に、私たちもワクワクしているんです。
*本記事は2019年3月に実施したインタビューを元に作成しています